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序奏(5)
――それは、数千年前の長きに渡る歴史へと遡 る。
暁の父・祇王がようやく狐から妖狐へと変化を遂げた時代――。
その時代は、この地はまだ闇と人間、互いが同じ場所に生き、生活をしていた。かの有名な時の方、安倍晴明 がいたのも、この時代である。
彼らと共に祇王も立ち上がり、平和を乱す族共を退治するため、彼らは平和主義な者達をこの地に、対する軍国主義は切り離すために魔界という地を作り、隔離する結界を成すことに成功した。
その結界がある場所というのが、近々森林を伐採してリゾート地の開拓を計画していたこの地。生前、祇王が遠隔で守っていた外部からやって来る魔物から侵入を防ぐ結界の場だった。
そもそも花嫁探しで人間界にやって来ていた暁は、祇王からこの結界を守るよう、使命を下され、人間の言う、合理的かつ道理的な方法で、暁が今現在いる、この土地を買ったのである。
その暁だが、この世界を守るという使命を持っているものの、実は暁本人よりも力量をはるかに超えた人物がいた。
強力な力を持つ古都と繋がった、彼の伴侶である、鏡 幸 だ。
だが、幸は最近になって人間から妖狐の仲間入りを果たしたため、なかなか妖狐族の勝手がわからず、王という位置に配しながらも、実は権限自体は未だに暁が持っていた。
そして暁は、願わくば、古都の伴侶にこういった危険な仕事に就かせたくないとも思っていた。
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