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邂逅(24)

 生成は枝の陰にうまく隠れながら、この場から遠ざかっていく。  ただ暁を心配する彼の声だけが、周囲に響いていた。 「俺は大丈夫だ。彼女を頼んだぞ!!」 「へぇぇ、わざと接近戦に追い込んで、あの女を助けようっていう姑息(こそく)な考えは狐のままだな。あんなちっぽけな人間を助けるためだけに……ねぇ? ――自分の思い通りに事が運んだと思うなよ!!」  生成の気配が消え失せたとほぼ同時に、暁の不可解な行動のすべてを理解した悪魔は、彼を馬鹿にした。口元は、にたにたと笑っている。  彼もまた、暁の思考に目を配っていたのだ。 「さて、それはどうかな?」  悪魔は如何に憤慨していたとしても、意外と冷静だということを知った暁も、この美しい悪魔同様にほくそ笑んでいた。 (これはいい兆候だ)  暁は内心、(うなず)いた。  実のところ、冷静な振りをしていても、暁の性的な欲望はすでに限度まで達していた。生成や彼女がいては、どうにもやりにくい。  況してや彼が暁の伴侶だと知った以上、いくら残忍な悪魔といえども、あられもない姿を彼らに見せたくはなかった。 (さて……どうするべきか……)  暁は思考を巡らせながらも、妖力をそのまま維持し、受け止めている拳ごと悪魔の身体を引き寄せた。  悪魔との距離が近づくにつれて、麝香の馨香も強くなる。暁の欲望を翻弄する。  暁が今から行う行為は、もっとも危険であり、そしてもっとも甘い行為でもある。

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