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邂逅(29)

おかげでデニムパンツを押し上げている彼の欲望はさらに大きく膨れ上がる。暁の猛りがジッパーに食い込み、痛みを通して自分を解放しろと訴えてくる。  これで美しすぎるこの悪魔が、自分の思ったとおり――いや、それ以上に愉しませてくれる存在だということが実証された。  か細い首筋は見た目と同じく絹のような滑らかな肌触りで、いつまでも吸っていたくなるほど魅惑的なものだった。  薄い唇を離せば、陶器のような美しい肌に赤い淫らな痕が残る。  これは自分のものだという証しだ。  ならばすらりとした肢体の間にある陰茎も、こうして暁の痕をつけたくなる。  暁は、首筋から喉元へと唇を這わせ、鎖骨までたどり着くと、尖った歯でシャツのボタンをむしり取った。  はらりと開く白い柔肌の首元は、息を飲むほど魅惑的だ。  暁はひとつ唾を飲み込む。赤い痕がついた首筋と同じように、引き続き唇を押し付け、鎖骨を食む。  彼の肌を味わえば味わうほどに、暁を惑わす麝香が鼻腔にまとわりついた。 「……っあっ、やめろ……」  暁の行為を拒絶する紫苑でも、もう自分を組み敷く相手に抵抗する手段は持ってはいない。  彼の強力な魔力さえもとっくに消失し、押さえつけられた手を振りほどく力もない。ただ、自分を組み敷く妖狐のされるがままになっていた。  それを知った暁は、戒める彼の手を解いた。  続いて胸元にあったエメラルドの飾りに手を置くと、乱暴に引き千切る。

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