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邂逅(31)
これは夢で、現実ではない。そう自分に言い聞かせ、見下ろせば、胸の頂きに乗っているふたつの蕾は赤くなり、甘い果実のように熟している。
「っ……!」
美味しそうに自分の蕾を舐め取る妖狐と目が合えば、さらに羞恥が込み上げてくる。
黒水晶の瞳にある瞳孔は開き、自分を見据えている姿は紛れもなく獰猛な虎のようで、まるで今の自分は悪魔ではなく、野に放された一匹の子兎か何かだと勘違いしてしまいそうになる。
「こうやって愛撫されるのは初めてか?」
狐の革を着た獰猛な虎は、そう言うと意地悪く口角を上げてほくそ笑む。
その姿に、紫苑の羞恥はピークに達した。
「っつ!! 当たり前っ……あぁっ!!」
『当たり前だ』
『ふざけるな』
そう言い連ねようとした途端、蕾を思い切り摘まれ、あるいは噛まれたために、彼の口は喘ぎしか発せなくなる。
それと同時に、紫苑の腰が大きく跳ね、暁の膨れ上がった雄の猛りに触れた。
「……っ……」
暁の欲望に触れた紫苑自身もまた、自分を組み敷く暁同様に大きく膨れているのがわかった。
それが絶大な羞恥を招き、さらにここから早く抜け出そうと身を捩る。その結果、暁の猛りと自身の猛りが布越しで擦れ合い、全身に甘い痺れを生じさせる。
「ん……いやだ……いやだ、はなせっ!!」
暁を突き放す言葉を連ねても、自身を擦り合わせる紫苑の姿はまるでそれすらも愉しんでいるかのようにも見える。
新たな火種へと引火していく。
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