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第4話

「今日はどこがいいですか?」  大抵、というか最初の一回以降は、毎回車で小一時間ほど走った場所にある地方都市のビジネスホテルへ直行する。  シングルの部屋を二部屋取り、片方だけ使用して……もう片方も適度に乱して帰るのは、壮一の提案だった。 『そんなに慎重にならなくても』 と、臆病さを笑われもしたが、用心に越したことは無いからそこだけは譲らなかった。現に、光希は自分の性癖を知っているのだから、どこから秘密が漏れるかなんて本当に分からない。 「今日は行かない。ただ、終わりにするって言いに来ただけだから」  何度も何度も頭の中でシュミレーションしてきた言葉は、自分自身が思っていたよりずっと上手に声に出来た。 「え? 今何て…… 」  予想していた通りの反応に自嘲気味に微笑むと、こちらを向いた光希に向かって運転中は前を向くよう手で促す。 「終わりだ、高林。お前転勤決まったんだってな。俺も新しい相手出来そうだし、ここらで精算しとこう」 「新しい男出来そうって、それ本当ですか?」 「ああ、本当だ」  実際には、相手なんていなかった。だけど、そんな風に言わなければ壮一自身格好が付かない。くだらないプライドだが、守るに値するものだった。 「それに、お前とのセックスにも飽きたし」  嘘。全くそんなことはない。今まで抱かれた誰より自分を丁寧に抱いてくれた。  男同士のセックスなんてしたこと無いと言う光希に、方法を教えたのは壮一自身だったけど、壊れ物を扱うような抱き方をされ続ける内に、勘違いしそうになっては、自分を戒め続けてきた。 「内田さん、それ、本気で言ってるの?」 「ああ」  出来る限り素っ気なく言葉を返すと車が止まる。外を見遣ると、郊外にある運動公園の広い駐車場だった。  馬鹿にされたと感じた彼は怒るかもしれないが、多分それは無いだろうと壮一は踏んでいる。彼は常に温厚で、怒ったところを見たことなんてこれまでただの一度も無かった。

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