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第3話

「はい、席つけよ〜。」 担任のセクシー先生のご登場である。 ザワザワしていた教室が一気に静かになった。 というかみんな先生をガン見だった。やはり人気があるんだろう。 「大半持ち上がりだから今更自己紹介いらねぇと思うが、数名ほど外部からの奴がいるから改めて。S組担任の玖遊虎牙(くゆうこうが)だ。一年間宜しく。」 俺はやっと先生の名前を聞くことができた。 「今日は入学式以外なんもねぇからホームルーム終わったら解散な。外部からの奴は寮の案内してやるからホームルーム後職員室に来るように。」 そういえば寮の説明とか何も受けていなかった。荷物は今日必着で学校宛に送るよう言われていたからもう届いてるんだろうけど。部屋割りとかドキドキするなぁ。 「じゃあこれから委員決めるぞ〜。まず学級委員な。やりたい奴、若しくは推薦。はい、手挙げろ。」 ちらほら手があがる。 というか、入学式の日に委員決めるのか…。内部生が殆どだし内部生がやってくれるだろう。 「田中〜、お前今年もやりたいのか?」 さっき俺のところに来た田中君。どうやら昨年も学級委員だったらしい。これはもうほぼ決まりな感じかな。 「はい。昨年一年間学級委員やらせてもらってましたが、今年度は立候補ではなく推薦します。」 ん?やらないの? こちらを振り返った田中君と目が合う。嫌な予感しかしない。まさかな… 「如月君にやっていただきたいです!」 「え!?俺!?」 予感的中。 こういうのって真面目系キャラとかガリ勉キャラとかがやるんじゃないの?俺みたいな新参者がいきなりやるっておかしくない? まぁ真面目だし勉強は出来るけど…だからってこんな今日入ってきた奴推薦する!? 「あぁ、如月な…他に立候補、推薦いるか?」 さっきちらほら手を挙げていた生徒が1人もいなくなった。 みんな俺推薦だったってこと? 「如月、お前に任せていいか?」 「え、俺ですか?でも俺そもそも学校の事わかんないし…」 「まぁそうだよな。副委員長どうすっかなぁ〜」 副委員長どうするって、俺はもう決まってるって事なのか?華麗にスルーされた感じだな。 「じゃあ副委員長俺やりますよ!それなら愛弥も安心だろ?」 加賀美君が立候補してくれた…。なんて優しいんだ。 「加賀美な。じゃあ委員長如月の副委員長が加賀美で決定でいいな。加賀美はしっかり如月サポートしてくれ。如月は、まぁなんとかなんだろ。頑張れ。」 「愛弥の事は任せてください。」 「えっと、はい、頑張ります。」 頑張りますしか言えない。 凄くすんなり学級委員長にされてしまった。このクラス大丈夫か? それより田中君の俺への様呼びから委員長推薦は何かの嫌がらせだろうか。正直ちょっと…いや、かなり帰りたい。そもそも学級委員長って何するんだよ…。謎しかない。学級会の司会進行とかそれぐらいしか思いつかない。 俺が悩んでる間に他の委員もすんなり決まったみたいだった。あんまり聞いてなかったけど…。 「委員決まったし他に特になんもねぇんだけど、新しい学校生活についてお前らなんか質問あるか?」 質問と言われてもこの学校についてわからない事がわからない。 内部からの子たちは質問なんてないだろう…と思ったらあちこちから手があがる。 「おい…」 玖遊先生が呆れている。 「今手挙げてる奴…本当に学校生活についての質問か?内部からの奴しかいねぇけど?」 しばらく沈黙が訪れた後、全員手を下げた。 なんだこれ…… 「今手挙げてた奴ら、トラセンセーのファンなんだぜ。」 加賀美君がコッソリ教えてくれる。 「トラ…先生??」 「あぁ、玖遊先生の事な。あだ名がトラ先生なんだよ。」 「なるほど…でも…玖遊先生って、虎っていうより豹とかそんな感じじゃない?」 「豹???」 加賀美君はわからないといった顔をしている。玖遊先生のセクシーさは虎ではなく豹の方がしっくりくると思ったんだけどな。 「俺への質問はおいおい答えてやるよ。じゃあ終わりな。外部からの奴、あと学級委員2人は職員室来い。以上。解散。」 そういうと玖遊先生はさっさと出て行ってしまった。 「愛弥、委員頑張ろうな。宜しく!」 「加賀美君ありがとう。俺学級委員とか何するのかわかんないんだけど大丈夫かな?」 「なんとかなるだろ!わかんねぇ事あったら田中も教えてくれるよ。な、田中!」 いつの間にかあの田中君が横にいた。 「愛弥様!学級委員長就任おめでとうございます!」 「え、ありがとう?」 田中君、まだ様付けだ。 「やっぱり委員長は愛弥様しかいません!そもそも僕が去年まで委員長をしてたのだって他にやりたがる人がいなかったからですし。まぁ中等部の学級委員なんて面倒なだけですからね。」 「へ、へぇ…そうなんだ。」 「それに愛弥様が委員長をやるということは生徒会入りも確実ということです。」 「どういうこと?」 「中等部の学級委員とは違って高等部は生徒会との関わりが深くなるんです。体育祭とか文化祭とか…イベント事には大体呼ばれます。」 「えっ、そうなの?」 思った以上に大変そうだな。俺なんかで本当に良かったのか? 「生徒会や他の委員の委員長とかと顔を合わす機会がとても多いですね。因みに、現生徒会メンバーはみんな学級委員からですよ。」 「それ…本当に俺で良かったのかな?」 「何言ってるんですか!!愛弥様は生徒会に入らないといけないんですから!!他のみんなもそう思ってますよ!…でも、加賀美君が副委員長に立候補してくれたのは意外でした。」 「俺?」 「加賀美君は生徒会とか興味無いと思っていたので……というか寧ろ…」 「興味はねぇな。ただ、愛弥がやるなら良いかなって思っただけだよ。」 加賀美君はなんて優しいんだろう。俺の為に面倒な役を引き受けてくれたんだ。俺も精一杯頑張らないとな。 「愛弥。そろそろ職員室行こうぜ。トラセンセー待たせるとうるせぇからな。」 「あ、うん。じゃあ田中君、また明日。」 「はい!行ってらっしゃい!」 田中君なんであんなに嬉しそうなのかわからないけどまぁ嫌われるよりはいいか。 幼なじみには嫌われてしまったみたいだけど新しい友達は出来たからまだなんとかやっていけそう。 京介と話せるタイミングがあればなぁ…

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