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 布団の中に潜り、保さんの股間へと手を伸ばすと、テントを張ると言う程ではない猛りが指先に当たる。  寝間着をずらし、ソレを掴み出して口に含む。  舐め上げながら根本を扱き、鈴口を軽く吸い上げていくと、閉じた唇を押し返すしなやかな硬さが生まれてくる。 「んっ…ぁ…ショウコ……おいで…ショウ…ぅ…わぁぁぁぁ!?」  悲鳴の様な声を上げた保さんが飛び起きたせいで、俺はもんどり打って床へと転げ落ち、強かに頭を打ち付けた。 「か…楷くん!?何をしてるんだっ!!」  初めて聞く保さんの大声で、俺はすっかり怯えて縮こまってしまった。  服を直しながら床に降りた保さんが、俺にカーディガンを掛けながら戸惑いながら尋ねてくる。 「……その…どうしてこんな事…」 「……だって、オジサンが、家に居たかったらこうしろって…」  その言葉だけで、保さんは以前引き取られた家で何があったのか悟ったのだと思う、苛々とした態度で白髪混じりの頭を掻くと、首を緩く横に振った。 「こんな事は…しなくていい」 「だって…」  保さんはカーディガンのボタンを止めながら、深い溜め息を吐いた。  それが恐ろしくて…身を引く。 「こんな事をしなくても、楷くんは私の家族だから」 「……」  じゃあ、保さんは何を得るから俺を引き取ってくれたんだろう…? 「それに、こんな事をしてても、オジサンの家には居れなかっただろう?」  事実を言われて、黙り混む。  俺とオジサンの絡み合う姿を見た家人は、金切り声を上げて俺を罵った。 『こいつガ、誘ッテキタカラ…』  そう言い訳する男に何の咎めもなく、俺だけが悪者にされて施設へと送り返された。 「……だって…」 「でも、嬉しいよ」  嬉しかったのか…やっぱり保さんもヤりたかったのか…  なんとなく裏切られた気分で肩を落とす。 「楷くんがここに居たいって思ってくれている証拠だからね」 「え?」 「違うのかい?ここを気に入って、居たいって思ってくれたから、あんな事をしようとしたんだろ?」  居たい…とは、思う。  ここは、今までで一番居心地がいいから… 「……居てもいいの?」 「家族になろうって言っただろ?居てくれなきゃ困るよ」  笑顔で覗き込んでくる保さんに、俺はぎこちない笑いしか返せなくて…それが凄く悔しかった。

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