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今日も薔薇に水をやる。
「貴方の心に…」
泣きながら、散らかしてしまった保さんの部屋を片付けている時に見つけた、小さな押し花。
ページが折れて倒れ伏す本を拾い上げた瞬間に絨毯の上に落ちたそれは、保さんの中に俺がいたかも知れない小さな希望。
いつだったか、保さんに手渡した、好きだと嘘を吐いた名前も知らない雑草。
「貴方の心の中に、俺は居た…?」
愛した人の忘れ形見としてでなく、俺自身を…見ていてくれましたか?
薔薇の足元で、抜かれて朽ち果てるしかない雑草の俺を…
俺が手渡した黄色い花を押し花にして持っていてくれたように…
僅かでも、俺を俺として…
「保さん…」
俺は、今日も薔薇に水をやる。
薔薇に煙る庭を、空から保さんが見ていてくれると…
薔薇に埋もれた俺を、見つけてくれると信じて…
END.
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