38 / 83
.
アキコが使っていた部屋に、唯一残した百合の絵は、小さく…けれど深く突き刺さった呵責だ。
アキコにした事を赦して欲しいとは思わない。だから、アキコのした事も赦せなかった。
増えていく赦せない事柄にがんじがらめになり、息をするのも億劫で……
ただただ、ショウコの思いを叶えたくて薔薇を植え、その世話に没頭した。
胸の内でショウコを妻と呼び、思い出に浸って静かに狂人のように暮らし続けた。
ふと、彼の事を思い出したのは、開いたショウコの日記にその名前を見付けたからだ。
…ああ、そうだったなぁ…と。
日々消えていくショウコの香りに、焦りを感じていたからかもしれない。
ふと、もしかしたらその子は……ショウコの面影を持っているかもしれないと。
そんな暗い考えが頭をもたげた。
探し当てた先は、 明らかに古びた養護施設。
職員やそこにいる子供を見て、大丈夫なのだろうかと思わせる雰囲気があった。
やっと探し当てた子供は…
酷くみすぼらしかった…
ともだちにシェアしよう!