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ぶるぶると体が震えるのは寒さが原因でないのは分かっている。
「……。そう言った痕跡はないな」
彼の視線が、両手で隠した股間を撫でたような気がした。
荒らされた部屋の中、全裸で立っていることに眩暈を覚えて固く目を閉じる。
「―――っ!?な、に…っ」
腕を取られて内側の柔らかな部分を確認される。
「プロほど体に痕を残させないものだ」
「お、俺は違う…」
歯がガチガチと音を立てている俺の言葉は消え入りそうで、彼に届いたか定かではない。
―――保さんが急に引き取った子供。
彼は子供ではなく、男娼を引き取ったのでは…と、そう言った意味の事を彼は言った。
「も…いいでしょう…」
微かに震えるだけだった体の震えが、肩に及び、唇を震わし、膝を揺さぶる。
裸体を人に晒す恐怖が、閉じ込めて克服したはずの恐怖を引きずり出す。
「向こうを向いて」
「っ……や…」
彼がどこを確認しようとしているかなんて、はっきりわかる。
「男娼だと分かるからか?扉を壊してあの部屋を確認した方が良さげだな」
「壊すなんて止めてくださいっ」
「君が男娼でないと証明できたなら、あの部屋で男を相手に春を売っていないとしてやってもいい」
「そんっ そんなことしてませんっ」
彼の頭ごなしの決めつけが、そう疑われてしまう自分の生い立ちが、責められるように苦しくて、堪えていた涙がぼろぼろと堰を切って零れ出す。
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