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「構わない。店の場所を教えておいてくれ」 「でも…」 「帰ってくるんだろう?」 「え?もちろん」  忍さんの言葉の真意がわからないままに即座に肯定すると、神妙な面持ちの頷きが返った。 「迎えに行く」    ―――迎えに行く    はっきりとそう言われた言葉が、正直嬉しかった。  学生時代、保さんの手を煩わせたくなくて、それにそんな必要もなかったから迎えに来てもらったことなんかなかった。  働き始めてこう言った飲み会に参加するようになった頃には、保さんは入院していたからそんな機会もなかった。  迎えに来てもらえる  家に連れて帰って貰えると言うのが、こそばゆく俺を浮き立たせる。 「今日はよく呑んでいるようだけど、大丈夫かい?」  武井部長の声にふわふわとした気分で頷いた。  いつもなら、終電までに帰らなければ…とかを考えていて、相手の不興を買っても酒を断っていたが…  場の雰囲気を壊さない程度に酒を飲んでも、今日は迎えに来てもらえるのだ。 「大丈夫ですぅ」  酔いのせいかほんのりと語尾が伸びたが、武井部長はそうかと柔らかく微笑み返してくれた。 「ここの所、機嫌がいいようだけど何かあったの?」 「えー?」  機嫌がいい?

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