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第2話

「なあ、高城」 普段、高城さんは喫煙室に一人でいるため知らなかったが、喫煙室の話し声は思っていたより聡明に聞こえた。いけないと思いつつも、つい聞いてしまう。 「なんだよ?」 面倒臭そうな声を出しながらも、高城さんはなんだか楽しそうだ。そんな表情をさせたのが、佐藤さんだというのは癪だが、高城さんの楽しそうな表情に、僕の胸は一層高鳴る。 「こないだの、罰ゲームの内容決まったぞ」 「あー、あれか。で、一体どんな無茶振りをして来る気だ?」 不敵に笑う高城さん、格好良い! 「こないだ、法律が変わって同性婚がオーケーになっただろ? それに合わせた罰ゲームを考えたぞ」 「うわー、嫌な予感しかしねぇな」 佐藤さんは、一体何をさせる気だ? 「お前は、これから一週間以内に、同性にプロポーズされたら、一週間付き合うこと!」 「プロポーズって……。付き合ってくださいなら言われたことも有るが、一週間以内にプロポーズされたりはしないと思うぞ」 えっ!? 高城さんに告白した男性がいるのか……。まぁ、そうだよな、高城さん格好良いしな。それに、他部署の俺が困ってる時に、当然のように助けてくれたくらい優しいもんな。 「これは、罰ゲームなんだから、絶対だぞ〜。この話は噂で広めるから、もし何人かにプロポーズされたら、最初にした奴と付き合えよ」 噂で広める!? 佐藤さん、酷い。高城さんが異性と付き合うのなら、仕方ないと思えるけど、同性と付き合うのなんて、耐えられるわけ無いじゃないか……。 「おまえ、なかなかえげつないこと考えるのな。まぁ、罰ゲームは罰ゲームだ。やってやるよ。ただし、相手にも一週間だけで罰ゲームだということは伝えるからな」 「さすが、男前だな。それでいいぜ、頑張れよ」 そう言って、ひらひらと手を振りつつ喫煙室から出て来た。 隠れないと盗み聞きがバレると思い焦ったが、隠れる場所など何処にもなく、佐藤さんと目があった。 佐藤さんは、僕を見てニヤリと笑った。そのまま近づいて来て、僕の耳元で囁いた。 「今がチャンスだぜ。いつも高城を見てる、平川くん」 驚いて一歩後ずさる。 「なんで、僕の名前を……?」 「あぁ、俺の周りに、お前の名前を事あるごとに言ってくる奴かいるからな〜。そんなことより、今行かないと、俺や高城と同じ部署の奴に、高城、取られちゃうぜ?」 佐藤さんの後半の台詞で、前半の台詞の内容は頭から飛んだ。 僕は、喫煙室に向かって駆け出した。一秒でも早く、そんな思いで喫煙室のドアを開けた。 「高城さん! 僕と結婚して下さい」

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