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第3話

「えっ、平川!?」 高城さんが驚いた顔で何か言ったけど、聞いている余裕なんて無かった。 「高城さんと、一週間だけでも付き合いたいです! 何より、高城さんが他の人と付き合うなんて耐えられません! 罰ゲームでも良い、僕と付き合って下さい、お願いします!」 「待て、平川……ちょっと落ち着け」 必死で僕を止めようとする、高城さんを見ていると涙が溢れた。 「なんでですか! 例え、罰ゲームでも僕みたいな地味な同性と付き合うのは、耐えられませんか?」 涙は留まるところを知らず、どんどんと零れ落ちる。 高城さんの前で、こんな涙に汚れた汚い顔なんて見せたくないのに、涙は止まらない。止めないと、余計嫌がられる。 しかし、止めようとすればするほど、涙は次から次へと溢れる。 「頼むから、泣かないでくれ」 高城さんを困らせてる。どうしよう。 「ごめんなさっ……んっ!?」 唇が何か柔らかいものと触れ合う。驚きに目を見張ると、写るのは高城さんの顔で……。呆然としていると、さらに柔らかいものが押し付けられる。 えっ、僕、高城さんとキスしてる!? 「あぁ、ようやく泣き止んだな。頼むから泣かないでくれ。平川……秋に泣かれると、どうすれば良いのか分からなくなる」 あれれ? 今、秋って呼ばれた? そういえば、さっきも平川って言ってたような……。 「なんで、僕の名前……」 「知ってるに決まっているだろう」 いやいや、決まってないよね? 「なんで、僕みたいな地味な同性の名前なんか……」 「地味だって? そんな馬鹿な。確かに目立つ顔立ちでは無いかもしれないが、とても可愛い顔をしているだろ」 今、なんて言った!? 「か、かわっ……?」 「可愛いよ。それに、仕事に一生懸命取り組むところには好感が持てる」 そう言いながら、僕の額にキスをした。 なんて言ったら良いのか分からなくなって、思ったことをそのまま口に出す。 「えっと、キっキスしてくださって、ありがとうございます、高城さん」 「こちらこそ、キスさせてくれてありがとう。……ところで、秋は俺のこと、明宏って呼んでくれないの?」 そう言って、笑いながら首をかしげる。これ以上ないくらい格好良いのに、可愛いとか反則だよね。 「えっと、でも、名前で呼ぶのは恥ずかしくて無理です。呼ぶ、理由も無いですし」 「理由ならあるでしょ?」 理由……? 「あっ! 罰ゲームで付き合ってくれるんですか!?」 高城さんが、額に手を当ててため息を吐く。そんなアンニュイな姿も様になる。 「結婚、してくれるんでしょ?……あぁ、大切なことを言い忘れてたよ。秋、好きだよ、愛してる」 真面目な顔で、じっと見つめられる。 「えっ!?」 内容は嘘だと思うけど、表情が嘘を吐いているようには見えなくて……。

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