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第5話 下級生

 華奢な身体に手を伸ばしたのは、どうしようもなく欲しかったからだった。  男子校の寮で、同室だった下級生は細くて、未熟で少女のようだったから。  伸ばしたその手を嫌がらなかったから。  白い薄い胸を撫でて、乳首をなめた。  乳首は女の乳首のように尖った。   それが気に入った。    自分と同じモノがついていたのはアレだけど、そこも未熟だったから、可愛いとさえ思えた。    何も知らない身体に快楽を教え込んだ。  遊びで繋がることは下級生に手を出す前からしてきたから。  男しかいないのだ。  しかも、山の奥。  そうなっても仕方ない。  だから優しく教え込んだ。  そういうものだ。  他人に触られたことのない場所ばかりを触ってやった。  勃起したそこも可愛いと思えた。  射精させてやれば簡単に身体が溶けるのが良かった。  穴もすぐに慣れて指を飲み込んだ。    そこで感じることも早く覚えた。  快楽に怯えて泣く顔は下半身を疼かせた。  舐められる良さも教えてやった。    下級生は可哀想なほど舌や指に泣きじゃくり、感じすぎるほど感じて、それは堪らない気分にさせた。  初めて触れた時から、こちらを見つめる目の熱さでも酔いしれた。  それでも、あまりにも細過ぎる腰を掴んで押し入った時は、少し罪悪感を感じた。   でも、ゆっくり入って、  そこで優しく優しくイカせてやった。  そこはキツくて暖かで、気持ち良かった。    下級生が声を殺すために口に入れてやった自分の指をしゃぶりながら、身体を震わせイク姿にハマった。  最初の日から一度では終われなかった。  卒業までの日、何度も繋がった。  卒業してしまえば、沢山女の子とも付き合えて、たまに白い身体や下半身を疼かせるあの泣き顔を思い出すもあったけど、また会おうとはおもわなかった。   あれはあの時だけのこと。  子供時代の遊び、そう思っていた。  更に大学を卒業、社会に出て数年、めったにない相手のいない夜などにはなぜか思い出して一人でしたりはしたけれど。  下級生の名前の方は忘れていた。  そんな頃に声をかけられた。  名前を呼ばれて振り向くと、知らない男だった。  名乗れてもなかなか思い出せず、やっとあの下級生だとわかり困惑した。  自分より大きな身体も、日に焼けた肌、低い声も、太い指も、どこにもあの少女のような下級生はいなかった。    でも、間違いなく下級生だった。  昔のように自分を見つめる熱い目がそのままだった。  さすがに戸惑ったし、同時に無理だと思った。  少女のようだったから抱けたのだ。  思わずそう言うと下級生は笑った。  「もう、抱いてもらいたいなんて言わない」と  安心して一緒に飲みに行った。  楽しく飲んで飲みすぎた。  目が覚めた時にはベッドの中で、喘がさせられていた。    穴を指で弄られ、胸を舐められていた。  昔、薄い下級生の胸をそうして、慣れない穴を優しくほぐしたように。    舌はあまりにも優しく胸を尖らせ、指は知らない快楽を教え込んでいた。  教え込んだ快楽を教えられていた。  「気持ちいいでしょ?オレもここが好きだった」  指で中のそこを擦られた。  身体が痙攣した。  神経を鷲掴みにされたような快感だった。  胸を甘く噛まれ、優しく吸われた。  触れられていない性器がふるえた。  気持ち良さに泣いた。  泣きじゃくった。  この腕の中で初めて感じてイカせたあの下級生のように。  嫌だとは言わせてもらえなかった。  言えなかった。  気持ちよすぎて。  昔ベッドの中で何も知らない下級生を翻弄したように、今度は自分が翻弄されていた。  「初めての時、あんたは優しく教えてくれた。今度はオレが優しく教えます」  低い声が耳を溶かす  抱いたことを恨んでいるのかと思った。  無理やりしたつもりは無かったけれど。  そう言うと下級生は笑った。   泣き顔とは違う、下半身を疼かせる笑顔で。  「まさか・・・オレは初めて寝た日からあんたに入りたかったんですよ、本当は」  そうささやかれた。    「大人になってあんたを抱くのを待っていた」  優しく脚を押し開かれ、ゆっくり穿たれていく。  杭が熱く甘くその目と共に焼いてくる。  焼かれながら叫んだ。  甘すぎて。  抱いた記憶は消し去られ、抱かれた記憶を代わりに上書きされる。     それは、心地よかった。   「あんたを抱きたかった」  甘く囁かれ陥落する。 END

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