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第7話 酷い男

 青年は浮気な男を愛していた。   浮気と言うよりも、博愛主義というか。    特定の誰かを愛せないというか。  それでも青年はかまわなかった。     最後まで、隣りにいるのは自分だと言う自負があったから。  他の子達は耐えられなくて去っていくだろうから。  彼は酷い男だから。  だから耐えれた自分だけが残ると信じていた。    男は本当に酷かった。  部屋に呼ばれて行けば他の誰かの脚を広げて腰をぶつけている最中。   それを見られても平然としているどころか、服をぬいで参加してくるように求められた。  青年は彼が望めば、その誰かの身体を舐めた。   彼が挿れたその後を、舌で舐めて綺麗にし、そこに自分のものを挿れ、腰を振りさえした。  彼が抱いた男を、時に女を上手にイかせた。      例え、三人でするなんて聞いてないと泣かれたら、優しいキスと言葉と愛撫で黙らせてから、突っ込んで中でイかせて、もっと欲しいと叫ばせた。  そうすれば彼は喜んで、他の誰かを抱いている青年のアナルに挿れてくれるから。  最後は青年でイってくれるから。  「何でもしてくれるのはお前だけ。大好きだよ」  そう囁かれる。  だから本当に何でもした。    目の前で他の誰かに貫かれながら、彼のモノを咥えるのも、 他の子を抱いている彼の身体を愛撫するのも平気だった。      求められればなんだってした。  ある日男は言った。   「特別な子ができたから別れてくれ」と。   その子のために他とは別れると。     青年は泣きながら男の元を去った  青年は特別な子には、彼にしたようなことはさせない。  その子だけを大切に抱き、他の誰にも触らせない、他の誰にも触らない。  でも男は戻ってきた。    特別な子が去ってしまったのだと悲しみながら。  大切にしたのに、と。  自分が本気で愛しても、いつでも本気の相手は去っていく、と。  「僕がいるよ、ずっといる」  青年は慰めた。  また爛れた夜が始まる。  青年はまた何でもする。  オモチャのように扱われてもかまわない。  「何でもしてあげる」   男と違う誰かのものを同時に二本挿れさせられた。  何人まで気絶しないでいられるかを確かめられた。  人前で何人もに犯されもした。  男が思いついてそうしたいといったなら。  吊されもしたし、鞭打たれもした。  男が喜べばなんでもした。  酷くされても離れない。  自分だけは離れない。  「何でもさせてくれるのは本当にお前だけ」    男に囁かれ、甘く酔う。  青年は男を抱きしめながら安堵する。  いつも、そう。    特別だと思いこむ。   大切にして、大切に抱いて優しくして。     どうせ帰ってくるくせに。   その子達が、いなくなったら帰ってくるくせに。  また澱んで淫らな夜に溺れるくせに。  淫らで、乱れたことが大好きなくせに。   いなくなったらまた忘れて次を探すだけのくせに。    毎回毎回・・・。   こっそり始末するのがどれだけ大変か。   いなくなったら忘れられるだけの存在のくせに、男の前に現れるな、そう青年は彼らを沈めた海を見ながら思う。 END

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