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第8話

電話を切ってやろうか悩んでいると「あれ?」という声が聞こえる。 《久しぶりなのに喜んでくれないんだ?》 「…こんな状況で喜べるわけないだろ。 それより質問に答えろよ、なんでこの番号を知ってるんだ。」 夜宵たち以外に教えてないはずなのに。 《なんだ、喜んでくれると思ったんだけど。 でも、そんなの簡単なことだろ? ちょっと調べたらすぐわかるよ。》 悪びれたふうもなくそう言われ、呆れる。 そうだこいつはこういう人間だ。 普通の感覚で話をしたところで通じない。 「...もういい。で、結局なんの用?」 湊と話してたら疲れるためさっさと切り上げようと要件を尋ねる。 《あぁ、そうだった。冬真に頼みがあるんだ。》 「頼み…?」 絶対にそんな可愛いものじゃない。 どうせ拒否権なんてくれないんだ。 そう思いながらも「なんだよ」と尋ねる。 《冬真が撮った写真、欲しいんだ。》

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