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第2話

なんでだろう。きっかけは分からない。 気が付いたら幸治といつも一緒に話したり笑ったりしていた。 君にはこの気持ち気付かれまいと、関わり合うつもりなどなかったのに。 君はいつも僕に笑いかける。君と過ごす学生生活は楽しくて仕方なかった。 バカみたいだけど、隣の席で同じ空気を吸って話をして笑って相談して思いあって。 一見仲のいい友達に見えると思う。 だけど僕は違う。君と同じ気持ちではない自信がある。 君は友情。僕は愛情。悲しい真実がそこにはある。 君との相性は何故かピッタリだと思う。 会話の弾み方、息の合い方、考え方。 だが、君には彼女がいる。茜ちゃんという、とっても可愛い彼女が。 君がノーマルだと言うことは間違いない事実だ。 僕も今までノーマルだった。 君に会うまでは…。 毎日苦しいくらいの気持ちが溢れる。 そして今日も昼休み、屋上のいつもの場所で君とメシを食った。 君は茜ちゃんの手作り弁当。僕はパン。 「光星、いっつも同じパン買うよな。それ上手い?」 幸治が話しかけてきた。 「ん、俺好きな物毎日食べても飽きないんだよね。」 僕は笑って見せた。 「そっかー。分かる気がする!」 はにかむように微笑むその君の笑顔がたまらない。 呼吸が苦しい。 「幸治はいつも茜ちゃんのお弁当いいよなぁ!俺も彼女欲しいや!」 「いやいや、光星はモテるだろ!男の俺から見てもイケてる!」 え?なんでそんな心を掻き乱すような事君は言うんだ。ホントは僕辛いんだよ。 君と茜ちゃんを見てるのが。 嫉妬するんだ、茜ちゃんに…。 君と堂々と恋人でいれることに。 そして君の気持ちを手に入れてる事に。 「モテねえよ…」 何となく、態度に出てしまった事に気が付いたけど、またパンをかじった。 「茜ちゃんて、優しい?」 それとなく聞いてしまった。 「もちろん」 君は優しく微笑んで僕を見る。 「茜ちゃんのどこが好き?」 「ん〜、どこかな?」 「茜ちゃんのこと、好き?」 「もちろん」 照れくさそうに、幸治が言った。 聞くんじゃなかった。悔しさと嫉妬でどうにかなりそうだ。 自分がこんなに浅ましい人間だったとは…。 だけど、今の関係を崩したくない。 このまま僕は君のそばにいたい。 たとえ友情と愛情の違いがあったとしても、君のそばを離れる事など今更耐えられない。 自分の気持ちが大きく膨らんで行くのを感じながら、気持ちを悟られないようにして、君のそばに居ることを選んだ僕。 茨の道が待ってる。 分かってるのにやめられない。 そう、君と話して目が合った時、僕は君に取り憑かれてしまった。 いつしか吸い込まれて、取り返しの付かないポジションに登り詰めてしまった。 触れることも、手を握ることも出来ない。 それでも君のそばから離れられないんだ。 たとえ見守っているだけだとしても、君から離れる選択肢はもう僕には残っていなかったんだ。

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