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第14話

僕は力無く校門に向かった。 幸治が下を見つめながら待ってくれてた。 さっきの川端の言葉が頭をぐるぐる回る。 僕は幸治のすぐ側まで来て 「お待たせ」 と言った。 幸治は僕を見て 「何してたの?」 と聞いた。 「サッカー部退部して来た」 幸治は、サッカーと言う言葉にものすごく反応した。 しばらく目を泳がせていた君は 「なんで退部するの?」 って聞いてきた。 「もう嫌になったから…」 「好きな事止める必要ないじゃん」 「もう好きじゃないし」 「俺に合わせて帰らなくてもいいのに」 「合わせてないし」 「そこまで気を使わなくても、俺1人で帰れるし」 「別にそういう意味じゃないよ」 「今まで甘えてたけど、お前はサッカー好きで入ってたんだろ?続けりゃいいじゃん。俺1人でもう帰れるから」 「違うって言ってんじゃん!俺、幸治と一緒に帰りたいんだ!別に幸治に気を使ってるんじゃないから!」 「俺の事件とお前の部活は別物なんだよ!気を使われたらしんどいんだよ!」 「気なんか使ってない!」 幸治が ため息をついた。 「サッカー部の先輩が相手だったから気を使ってるんだろ?」 いつになく幸治が攻めてくる。 「俺、お前が大事なんだよ!頼む。分かってくれ。もう決めたんだ。俺が決めたんだ。だから、自分のせいでみたいな事言うなよ…」 幸治がまたため息をついて、少し間を置いて 「ごめん。ありがとう。今まで良くしてくれたのに、俺言い過ぎた…」 「そんな…全然…そんなこと」 そんなやり取りをして2人で校門から歩き出した。 「俺さ…」 幸治が呟いた。 「サッカー部入りたかったんだよね。本当は」 俺はビクッとして幸治を見た。 「だけど、今はサッカー部入ってなくて良かったって思ってる」 僕は深く息を吸って 「アイツらがいたから?」 と聞いた。 「…うん」 そうだよな。 「俺さ」 幸治がまた話し出した。 「不思議なんだよね」 「何が?」 「なんでアイツら俺の事知ってたんだろ?」 「…え?」 血の気が引いた。 「だって3年と関わる事なんもねえのに、アイツら俺の靴箱に手紙入れてたんだぜ」 息を飲んだ。 「宛名も俺だったんだ。おかしいだろ?接点なんかなんもねえのに」 汗が落ちた。 僕が君の名前をグランドで呼んだかだ。 そして、僕が君を呼び止めて話しかけてたから、君の顔をヤツらは覚えたんだ。 全部俺のせい。 この謎ってすぐ気付くよね? 俺は立ち止まって、言った。 「俺のせいだ。俺がサッカー部で、下校途中の君に話しかけたからだよ。だからアイツら君に目を付けた…」 幸治がハッとして、俺を見た。 「…ごめん」 俺は幸治の顔を見ることが出来なかった。 幸治はしばらく立ち止まって、ゆっくり僕に言った。 「そっか。そういうことか」 終わった。 幸治は俺を今日から憎む。 「納得した」 これでもう僕はおしまいだ。 幸治が離れて僕は君のとなりに居れなくなった。 儚い恋も募る思いも全て終わった。 「理由が分かってスッキリしたよ」 え? 「光星のせいとかじゃなくて、アイツらに面が割れた理由が分かったから」 え? 「納得出来たら別にいいんだ」 「別に…いいとは?」 「なんで俺のこと知ってたんだろって、気になってただけで、結果とは関係ないから」 「…関係ない?」 「だってそうだろ?過程がどうであれ結果は常に同じではない」 「…」 「俺のことを知ったきっかけがそこにあったとしても、俺が手紙に従わなければ結果は変わってたんだから」 「…」 「俺、自分のしたことを光星のせいにするほど卑怯なヤツじゃねえよ」 「…」 「失敗したのは俺だ。お前が責任を感じるのはおかしい」 そんな風に思ってくれてるのか。 僕は君のその言葉に救われた。

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