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第19話
とうとう川端がエスカレートしきた。
犯罪者が堂々と被害者に接触し脅して同じ事を繰り返す。
性犯罪は被害者が弱みを握られた形になり、犯罪者はのうのうと暮らしている。
このままでは、君が壊れてしまう。
君は全てを失った。
成績もみるみる落ち、好きな人とも別れ、心も破壊された。
肉体は汚され、感覚も敏感になり、拒否反応を示す。
そして、その屈辱を受けた相手に脅されるという理不尽な恐怖を感じさせられている。
川端を止めないと!
初めは復讐を考えていた。
しかし、君が茜ちゃんと別れて僕が付き人のようになり、いつしか君の気持ちより自分の気持ちを優先させていた。
なんて僕は卑怯な人間なんだ。
情けなくなってくる。
だけど、君のそばにいれることが幸せ過ぎて、君の気持ちをくみ取ることを忘れていた。
もう、そんなことを言ってられなくなって来た。
また川端が君を狙って君の体に触れるのかと思うとゾッとする。
そう。それもまた自分本位。
何となく自分が哀れに思えてきた。
結局僕は君を独占した気分に浸り、そしてその君の体に触れた川端に何故か嫉妬し、そしてそういう気持ちから、川端を憎んでいるに過ぎない。
そう。君のためじゃない。僕自信の気持ちのために僕は今複雑な感情を抱いているのだ。
なんて恐ろしい!なんて最低な人間だったんだ。僕は。
恥じるべきは僕自身だった。
今僕に出来ること。それは僕自身の考え方を見直し、僕自身でそれを正し、反省し、君の心に寄り添い、私利私欲を捨てなければならない。
出来るのか?
僕はこんなに君を愛しているのに。
いや、愛しているのなら出来なくてはならない。
でも何か違う。僕自身が自分自身をすっかり見失っていることに気付かされた。
川端から君を守りたい気持ちは事実だ。
しかしそこにはよこしまな気持ちが混ざっている。
それはきっと、今僕は君の復讐よりも先に君を手に入れること、それを考え始めている。
その川端に汚された体を僕の体で洗浄したいとまで考え始めている。
何を考えているんだ?川端よりもそんな自分の考えにゾッとした。
僕は正気か?
ただ、そばに居て寄り添いたいと純粋に思っていた時とはどんどん変わって欲が出て、君の心を手に入れたい。君の体に触れたい。君の体を手に入れたいとまで考えている自分に気づいた時の恐ろしいさ。
そして君を傷付けた川端を憎むのではなく、君の体を先に手に入れた川端に対しての憎しみであることに気付かされた時の恐ろしさ。
本当にゾッとする。
僕こんな人間だったっけ?
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