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第20話
結局教室に戻れず授業は終わり帰宅時間が来た。
もう、成績なんかどうでもいい。
すっかり勉強が手につかなくなった。
親は俺をものすごく非難する。
帰ったら最近親との喧嘩が絶えない。
俺の成績が落ちたことが気に入らなくて、塾をサボっていることもバレた。
仕方ないじゃないか。おまえらには分からないよ。俺の勉強に集中出来なくなった理由。
川端に犯されたあの日、震えて帰って来た俺に気がついてくれた?いや、気が付かれたくない。
あの日塾をサボった。
部屋から出ない俺を、母親は叱咤したが、何を言われようと部屋から出なかった。
心配してるわけではない。俺が勉強をしないことを許せなくて仕方ないのだ。
父親は国家公務員でエリートだ。だから、母親も父親も当然それなりの学歴を息子に求める。
愛されて育ったと言うより、期待されて育った。
子供の時から勉強勉強とうるさくて、なかなか友達と遊ばせてもらえなかった。
だから俺は茜と付き合い始めても、口が裂けても茜の話など出さなかったし、バレないようにゆっくり会う暇がなくても、学校デート、帰宅デートだけで我慢した。
学校が終わったらほとんど塾や、家での勉強を強いられていたから、休憩時間友達と遊ぶのがとても楽しかった。
それ以外決して楽しい毎日ではないのに、なぜこんな罰まで受けなければならなかったのか。
俺はスポーツが大好きだったけど、親にはそんなこと関係ない。部活する時間も与えてもらえなかった。
友達を家に呼んだことすらない。
親も俺を束縛する。川端も俺を脅してしばる。
生きてていいことなんてあるのか?
もう学校にも行きたくない。
朝が来なければいい。
今は人間不信で光星だけが友達だ。
茜も突き放してしまった。
もう、どうでもいい。
どうせ、川端を拒否したら学校中に白い目で見られる日が来る。
俺には2択しかない。
あいつの言いなりになるか、学校中の笑いものになるか…。
相談するべきなのか…。光星に。
でも、友達にこんな相談したからどうなる?
重い俺を光星はめんどくさくなる日が来るかも知れない。
本当の悩みなんて、人に話していいことなんかきっとないんだ…。
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