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第一章・3
実由は、笑顔が素敵な子だった。
潮を、オタク扱いもしなかった。
それどころか、アニメの話で盛り上がることもあった。
「私、ガンダムはファーストしかしらないんです。パパのDVD、子どもの頃に見ました」
「最新作のブルーレイ、持ってるよ。よかったら、貸そうか?」
「え~、傷つけたら悪いし、いいですよ」
確かに。
以前の潮なら、大事な宝物を他人に貸すなど思いつきもしなかった。
それが、この実由になら素直に口に出た。
ゲームの話が、弾むこともあった。
「え~! FF7Rって、20年も前のゲームなんですかぁ!」
「うん、一応リメイク版だけどね。新キャラ出るし、ストーリーは違うし、前作とは明らかに変わってると思うよ。」
「で、神崎さんは、もうクリアしちゃったんですか?」
「あぁ、簡単だったから、一日で」
そこで、すごぉい! と来るのだ。
ゲームを一日でクリアして、褒めてくれる人なんて今まで誰もいなかった。
潮は、どんどん実由に夢中になって行った。
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