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第二章・4
「絵夢は、食べない……よね。さすがに」
「お兄ちゃんが一緒に食べて欲しい、って言うなら食べるよ」
「食べる、って。食べた後、どうするんだよ」
さすがに、消化器官まで搭載されているはずがない。
「ん~、後で、こっそり捨てる」
「もったいないなぁ」
そんな些細なことで笑顔になりながら、潮の心はどんどん潤いを取り戻していった。
「お兄ちゃん、洗濯するからお洋服脱いで」
「お兄ちゃん、掃除機かけるから、ちょっとどいて」
「お兄ちゃん、晩ご飯、何にする?」
「家族って、いい……ッ!」
訳あって、児童養護施設で育った潮に、家族はいなかった。
初めての温かなぬくもり。
二人で仲良く好きなアニメの録画を見ながら、潮はこの買い物に満足していた。
ただ……。
(弟にしては、ちょっとべったりくっつきすぎなんだよなぁ)
潮の肩に頭を預け、すっかりもたれている絵夢。
これではまるで。
(恋人、じゃないか!)
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