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第二章・6
「さ、お兄ちゃん。もう寝よう。今日はどうする?」
「どうする、って。何が」
絵夢に自分のパジャマを貸して、ベッドに潜り込みながら潮は訊き返した。
「僕とエッチ、する?」
ぶぅ、と潮は盛大に吹いていた。
「待てよ! お前は、家庭用人型AIだろう!? 最近の製品は、そこまでやるのか!?」
「だって僕、セクソイドだもん」
セクソイドとは、その名の通り人間との性交も可能にできている、超高性能アンドロイドだ。
主に風俗業界で使われるが、金持ちが道楽で個人持ちするケースも増えているという。
「何だって……」
潮の頭は、ぐるぐると回っていた。
一体、どこの誰が。
こんな高価なセクソイドを、家庭用と偽って出品したのか。
「いや、もしかして」
潮は、絵夢の顔を両手で挟んだ。
「この目にカメラが仕込んであって! 俺のお間抜けなセックスシーンを嘲笑いながら酒でも飲むんじゃないのか!?」
「解んない。前の持ち主の記憶は、全て消去されてるから」
少し湿った絵夢の返事に、潮は大声で怒鳴った自分を反省した。
「ごめん。今日は、エッチしないよ。寝よう」
「うん!」
やがて、絵夢は静かになった。
休止モードに入ったのだろう。
潮も、いつの間にか眠ってしまった。
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