23 / 27
第四章・2
「あれ? お兄ちゃん、今日は早いね」
「絵夢、無事だったか?」
具合の悪いところはないか、変な音はしないか、とやたら心配する潮に、絵夢はただ優しい。
「お兄ちゃん、心配してくれたの? 僕は大丈夫だよ」
でも、嬉しい、と微笑んだ。
その途端、絵夢は膝からくずおれた。
「絵夢!」
「異常が発生しました。エラーB1、エラーB1、エラーB1……」
「ああもう、解ったから! ちょっと静かにしてくれよ!」
潮は、取説を急いでめくり、エラーの項目を引いた。
「エラーB1……、バッテリーか!」
急いで、バッテリーを新しいものと交換しなくてはならない。
しかし、近所に人型AIを取り扱っている店はない。
潮はネット通販のサイトを開いた。
「あ、でも!」
絵夢は、サイバーライン社製のMX710HSと偽って売られていたセクソイドなのだ。
バッテリーの型が、合わない。
ともだちにシェアしよう!