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第四章・3
「立てるか? 絵夢」
「エラーB1……」
泣きそうになりながら、潮は絵夢を抱えるとタクシーに乗った。
そして、人型AI専門の中古販売店に駆け込んだ。
「見たことのない型ですねぇ。バッテリー、ですか。エラーB1、かぁ」
「治してください、早く!」
「人型AIなら、大抵この辺にバッテリーが搭載されてるんですが、こいつは合成皮膚でぴっちり塞がれてる」
お客さん、と店員は好色そうな目になった。
「これ、セクソイドですね?」
「俺の弟です! 早く治してください!」
「セクソイドなら、それ専門の工場に出さないと、どうしようもありませんよ」
「どこですか、そこ!」
「製造元が解らないことには……。買い換えた方が、安くつきますよ。きっと」
「もう、いいです!」
再びタクシーを止め、潮は自宅へ帰った。
出た時の勢いは、失われていた。
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