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第四章・4
「絵夢」
「エラーB1」
「絵夢、ったら」
「エラー……」
「絵夢、お兄ちゃん、って言ってくれよ」
「……」
ついに絵夢は、何も言わなくなってしまった。
その冷たい体を抱いて、潮は泣いた。
しかし、ひとしきり泣いた後、すっと立ち上がった。
「絶対に、絵夢を治してみせる」
腕の中の絵夢は、眠っているようだった。
休止モードではなく、ゆっくり眠って疲れを癒しているかのようだった。
潮は大切に大切に絵夢を毛布でくるむと、パソコンで大学を検索し始めた。
「生命工学部のある大学は……、日本で12校か」
どれも、難関だ。
「絶対、合格して見せるからな。絵夢」
お兄ちゃん、がんばって!
そんな絵夢の声が聞こえてくるようだった。
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