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第12話
「そうか、不安にさせたな」
そう告げながら、胸の尖りへと指を這わせれば、逃れようと体を引くから、体を起こしてベッドの上へと愛斗の体を縫いつける。
「で、マナはあれを見てどう思った? 」
「捨てられるのは…… 嫌だ。でも、このままじゃ、いつか捨てられる。だから、学校に…… そうしたら、勉強して、にいさんに必要だって…… 思ってもらえるかもしれない。それに、友達ができれば、にいさんが、安心して…… 」
「必要ない」
話の途中でそう言い放ち、舌で涙を舐めあげていく。
「マナは、俺の言うことを聞いてればいい。そうすれば、絶対マナを一人にしない」
「…… 本当? 」
「ああ、約束だ」
甘く囁き、唇を深く塞いでいくと、悦ぶように細い体がビクリビクリと痙攣した。
「んっ…… んぅっ」
下肢へと触れれば既にペニスは健気に勃ち上がっていて、先端を軽くつついただけで、性に目覚めたばかりのそれは、簡単に爆ぜて白濁を散らす。
「なんでも…… 聞くから、にいさん、捨てな… で」
「ああ、ずっと一緒だ」
繰り返されるキスの合間、必死に言葉を紡ぐ愛斗が愛おしくてたまらない。明斗のことをまだ〝兄さん〟と呼んでしまっているけれど、あとでしっかり躾なおせばそれでいい。
なにせ、性欲処理に時折セフレを連れ込んではいたのだが、それを愛斗が目にするように仕組んだのは明斗本人だ。
――やっと…… だ。
ようやく代替品ではなく、本物を腕に抱く事ができた。
「…… 俺の我慢を褒めてほしいよ」
一目惚れに近かった。
病床にいた父親から、異母弟がいるから助けになって欲しいと言われた時には、さしたる興味も無かったけれど、葬儀が終わって少し経ったころ、頼まれていた手前もあるから、父から貰ったメモを頼りに一応アパートを訪ねてみた。
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