12 / 13

第12話

「そうか、不安にさせたな」  そう告げながら、胸の尖りへと指を這わせれば、逃れようと体を引くから、体を起こしてベッドの上へと愛斗の体を縫いつける。 「で、マナはあれを見てどう思った? 」 「捨てられるのは…… 嫌だ。でも、このままじゃ、いつか捨てられる。だから、学校に…… そうしたら、勉強して、にいさんに必要だって…… 思ってもらえるかもしれない。それに、友達ができれば、にいさんが、安心して…… 」 「必要ない」  話の途中でそう言い放ち、舌で涙を舐めあげていく。 「マナは、俺の言うことを聞いてればいい。そうすれば、絶対マナを一人にしない」 「…… 本当? 」 「ああ、約束だ」  甘く囁き、唇を深く塞いでいくと、悦ぶように細い体がビクリビクリと痙攣した。 「んっ…… んぅっ」  下肢へと触れれば既にペニスは健気に勃ち上がっていて、先端を軽くつついただけで、性に目覚めたばかりのそれは、簡単に爆ぜて白濁を散らす。 「なんでも…… 聞くから、にいさん、捨てな… で」 「ああ、ずっと一緒だ」  繰り返されるキスの合間、必死に言葉を紡ぐ愛斗が愛おしくてたまらない。明斗のことをまだ〝兄さん〟と呼んでしまっているけれど、あとでしっかり躾なおせばそれでいい。  なにせ、性欲処理に時折セフレを連れ込んではいたのだが、それを愛斗が目にするように仕組んだのは明斗本人だ。  ――やっと…… だ。  ようやく代替品ではなく、本物を腕に抱く事ができた。 「…… 俺の我慢を褒めてほしいよ」  一目惚れに近かった。  病床にいた父親から、異母弟がいるから助けになって欲しいと言われた時には、さしたる興味も無かったけれど、葬儀が終わって少し経ったころ、頼まれていた手前もあるから、父から貰ったメモを頼りに一応アパートを訪ねてみた。

ともだちにシェアしよう!