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第7話
「お前最近おかしいやん」
友達か心配してくれた。
放課後机に突っ伏している俺に声をかけてくれた。
がた落ちのテスト結果に俺は死んでいた。
こんなん希望校どころか、どこにもいかれへん。
ちなみにアイツはトップや。
そうやろうな。
「・・・助けてくれ」
俺は泣き言を言った。
数少ない、上手くやらなくてもいい友達だった。
親友とかではないけれど、あまりにも何も考えていない男なので、こちらも考えることが馬鹿らしくなってしまった関係だ。
「なにぃ?珍しいやん、泣き言」
友達はニヤニヤ笑った。
面白がってやがる。
「性欲が止まらへんのや。オナニー止められへんで成績がた落ちや」
俺は正直に言った。
コイツに取り繕っても仕方ない。
それに何より、コイツならなんかこう、真面目に考えたらわからんことをアホなやり方で解決してくれるかもしれん。
そういうことはあったし。
「オナホール買えや」
即答された。
「余計に気持ちよすぎて止められへんわ」
俺はこたえた。
コイツに聞いた俺がアホやった。
でもコイツと話す時だけ、ホンマに楽になる。
アホすぎて。
「・・・ほんならオナニーやなくてセックスしたらええねん」
友達はあっさり言った。
「・・・はぁ?」
俺は呆れた。
そんなに簡単にセックスなんか出来るわけないやろ、相手のいることやし。
「紹介したろか?女の子」
友達は笑った。
「お前最近背も伸びたし、可愛い系やん。童貞喰いたいって子もおるし、紹介するで?」
なんかとんでもないことを言われてるような。
「一回セックスしてみ、オナニーなんかよりずっとええで?」
友達はめちゃくちゃ親切に言ってくれているのはわかった。
持つべきものは友達なのかもしれん。
俺は久しぶりに機嫌よく家に帰ってきた。
俺はシャワーを浴びにいく。
ちょっと、光が見えた。
アイツが隣におるから、アイツ以外のことを考えられへんかった。
でも、他の子と付き合ってみたら?
「そんな深く考えへんでええねん。まあ、ノリでセックスしてみて、身体の相性が合うて、性格合いそうやったら付き合うたらええんや。相手の女の子にも選ぶ権利あるしな、まあ、かるく行こうや」
友達は言った。
俺にはそこまで気軽は無理や。
でも、俺でもええって言うてくれる子がおったなら、その子を大事にして付き合いたい。
大事にする。
それは償いみたいなもんかもしれへんけど、ホンマに心のそこから大事にする。
アイツ以外なら、俺には誰でも同じなんや、と思った。
でも、身体を重ねて、時間を重ねたら・・・何かは生まれるんやないか?
ただ自分勝手に思うだけより、よっぽど建設的やないか。
恋は永遠やない。
いつかきっと、楽にはなれる。
でも、近くにおったら難しい。
だから、早速今日紹介してもらうことにした。
忘れたかった。
アイツとの思い出なんて何もない。
アイツのことなんか何もしらない。
何も教えてくれない。
何も見せてくれない。
ただ、あのスケッチや、あの時の声。
それがもしかしたら俺のこと好きなんやないかと思ってしまったけれど。
今日も母さん達は留守や。
ちょうどええ。
俺はシャワーを浴び終え、髪を乾かし、できるだけお洒落な服を着た。
いつか、その子の前では上手くやらなくてもすむようになれればいい。
俺は鏡を見ながら思った。
脱衣場のドアか思い切り開けられた。
「どこに行くんや」
低い声かした。
アイツか俺を睨みつけるように立っていた。
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