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第9話

 そこからはあっと言う間やった。  引きずられるようにアイツの部屋のベッドにつれていかれた。   俺はベッドに押し倒された。  当たり前のようにズボンのベルトが緩められ、ズボンが脱がされる。  下着も抜かれた。  もうみっともなく勃起したモノを俺はアイツの前に晒されていた。  脚を閉じようとしても、アイツが脚を掴んでいて、閉じられない。  ゴクリとアイツの喉は動いたし、食い入るように黒い目がそこみているのも分かった。  見られただけで、先端から液が零れてしまうのが恥ずかしかった。  コイツも俺に欲情してる。  「・・・見んといて」  俺は力なく言う。  「誰でもいいとか言うといて・・・そんならこれくらい平気やろ」  アイツは少し怒った口調で言った。   「・・・怖いか?」  ふと優しい目で俺を見た。  俺は首を振った。  今この状況が何なんかわからへん。       でもわかっていることがあった。  触ってもらえるんや。      それは泣ける位うれしかった。  「怖かったら言いや。止めるからな」  アイツは俺は寝かせて、自分は座ったまま、その指を俺のそこへと滑らせてきた。  触れられただけで、声が出た。  「あっ・・・」  夢みたいやった。  想像の中で何度も何度も触れられた、その指が本当に俺に触れていた。  真っ黒な目が俺を見ていた。  熱い。  視線が熱い。   俺を見てる。  俺のそこや、俺の顔を。  ゆっくりとその指が動き出したた。  「アアッ・・・あかん、あかん!」  俺はあまりの気持ち良さに驚いて叫んだ。  こんなん・・・。  俺は。  俺は。  もう、アイツに触れられると思うだけで限界寸前だった俺のモノは・・・。  アイツがちょっと触れただけで、ちょっと擦っただけで、簡単に爆ぜてしまった。   「ああっ!!」  自分の中から出て行くモノにこれほど快楽があるなんて知らなかった。  灼かれる位の快楽に、大声で叫びながら、からだを震わしながら、俺は怯えた。  こんなん・・・知らん・・・。  そして、出したモノがアイツの手の中にあるのを見て、アイツが俺を見下ろしているのを見て、たった数回擦られただけで出てしまったことに気づいて。  俺は恥ずかしさに泣いた。   触れられただけで、出す・・・なんて。  アイツは俺が出したモノや、俺の顔や、出したばかりのそこから目をそらしてくれなかった。  手でおおい隠そうとした顔を、腕をつかまれさらけ出させられた。  「・・・可愛い」  そう呟かれた気がした。  もう出したから終わるかと思った。  ちょっと触られただけで、みっともない。  俺。   俺。  俺にだって見栄があった。  アイツにこんなこんなん・・・こんなみっともない。  すごく恥ずかしかった。   子供見たいにしゃくりあげてしまった。  「・・・こんなんでは、足りんやろ」  優しい声がした。   アイツが優しい目をして笑ってた。  いつもの完璧な優しい笑顔とは違って、溢れ出してしまったような笑顔で。  そんな優しい顔するんや、そう思ってしまった。  でも、ソイツの指はイったばかりの敏感な俺のソコを擦りはじめた。  「あかん・・・イったばっかりや・・・あか、ん」  俺は叫んだ。  でもその指は今度は容赦なかった。  「あか、んて・・・やめ・・ああっ!!」  敏感な先端を強く擦られ、怖すぎる程感じた。  そこだけやない、袋の方まで優しく揉まれていく。    「あかん、あかん、あか、・・・ん」  俺は叫ぶ。  「怖かったら・・・止めるて」  俺は必死でのしかかるように身体を預けてくるコイツを押しのけようとした。  こんなんあかん。  気持ち良すぎて怖いなんてあかん。  「・・・そやな、止めたる言うたな・・・ごめん、嘘ついたわ。止めたらん」  アイツが顔をゆがめて言った。  擦り、揉み込まれ、先を執拗に弄られた。  めちゃくちゃ気持ちいい。  下半身が溶けるかと思った。  「ああっ・・・いい・・めっちゃ気持ち良い」  思わずそう言ってしまう。  「先っぽ好きか?」  ささやかれて、思わず頷いてしまった。  コイツにここをそんな風に触られたかった。  アイツが自分でそうしているのを見た時から。  「,・・・そうか」  アイツは笑った。  それはいやらしい顔で、そのエロさだけで、また俺は出そうになった。  コイツは俺に欲情してる。  俺を触りたいんや。  俺はその事実に歓喜した。  二度目の放出は一度目以上に脳を焼いた。   結局・・・三度もイかされてしまった。  三度目は抱きしめながらされた。  ズボンの上から、アイツのもんが硬くなってるのも分かった。  「俺だけやったら・・・お前のんも」  俺が指を伸ばそうとしたら、手を掴まれ止められた。  「俺はええんや」  優しく囁かれた。  触りたかったのに。  俺もお前に触りたいのに。  触ってくれても、触らしてくれへんのやな。  俺はまた泣いてしまった。  「泣きな・・・」  アイツか困ったように言った。  背中を優しく撫でられた。   「・・・これが精一杯なんや。わかって?」  切ない声に囁かれた。  胸に顔をうずめた。  それで満足するしかなかった。  それでもこうやって抱きしめられる今が嬉しくもあった。  三度目は優しく優しく、時間をかけて弄られた。  背中は撫でてくれるけど、指はソコ以外は触ってくれない。  俺はズボン以外は服を着たままや。  アイツに至っては髪の毛一つ乱れてない。  肌と肌を合わせることさえゆるされない。  「手伝って」くれてるだけで、こんなんセックスでも何でもないんや、そう思ったけれど。  アイツの名前を呼びながら、アイツの首にすがりつきながら、三度目の射精をした。  それは、それでも、夢みたいに幸せで、あり得ん位気持ち良かった。  俺は久しぶりになんか解放されたみたいやった。  アイツの腕の中でそのまま、眠ってしまった。  友達や女の子と約束していたことも、何もかも忘れて。  「・・・可愛い。ホンマ可愛い」  アイツの低い声がした気がした。  でもその声は苦痛に満ちていた。  「・・・辛いんは・・俺や、アホ」  優しく頬を撫でられた気がした。

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