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第17話

 「俺がお前に何したかったのか知ってもお前・・・俺に触られたいと思うか」    アイツの目か黒々と輝き、アイツは獣のように歯を剥いた。  それは怖かったけど、そんな顔さえアイツは綺麗やと思った。   アイツは俺の胸に触れた。  乳首を指先で撫でられた。  確かめるように。  「ふぅ」  思わず吐息のような声が出てしまった。   なんか変な感じがして。  アイツの唇かそこに降りる。  胸にキスされるんかと思った。   鋭い痛みが走った。  アイツは俺の乳首を噛んでいた。  痛い。  でも、俺は悲鳴をあげなかった。  悲鳴をあげたら、アイツがもう俺に触るの止めてしまうんじゃないかって、思った。  嫌や。  やっとホンマに触ってくれてる。  俺にも触らしてくれてる。  嫌や止めたない。  アイツが歯を離した時、そこには血が滲んでいた。  アイツは優しくこんどはその血ごとそこを舐めていく。  痛みの後、労るようになめられる感触は、甘くて。  胸なんかで、こんな気持ち良くなることがわからなくて。  俺はただ喘ぐしかなかった。  首に痛みが走った。   アイツが噛んだのだ。  痛みは熱さのようで、歯か肉にくい込む感触を俺は受け入れる。  アイツや。  アイツのんや。  それだけで構わなかった。  「こうやって、俺の印をつけてまわりたかったんや・・・俺の印を・・・」  アイツが苦しそうに言う。   「・・・付けて・・・」  俺は言う。  消えへん印をつけて欲しい。  もう一度触れてもらえることなんかない、これが最後や。  何でアイツが触ってくれる気になったんかわからへんけど、 俺ではあかんから。  俺ではあかんのや。  俺は卒業したら家を出る。  それは決めてたことや。  コイツともそうそうあわへんなるやろ。  俺が未練がましくコイツの周りをウロウロしてたら、アイツの出会いも奪ってまう。   お前は優しい。   俺のこと気にするやろ?  俺は家族と言う形で、たまに会えたらええ。  義理の兄弟。  深く踏み込まん、でも切れへん関係。  お前は、お前くらい魅力的な奴なら、絶対誰かが現れる。お前の心を無理やりにでも割開くような人が。  だから、今、俺に。   「印つけて・・・」  今だけでも。  「お前はホンマに・・・」  アイツは俺を抱きしめた。  「喰ってしまいたいとか・・・ホンマに思うんや・・・俺はおかしいんや・・・わかってんのか・・・」    アイツは震えながら言う。  喰って全てを取り込んでしまいたい。  お前の全部を自分だけのモノにしたい。  「俺は・・・母さんと一緒や。お前を燃やしてしまいたいとかも思うんや・・・でも、それとおんなじ位、そんなんしたないんや・・・」  燃やしてしまいたい。  一緒に燃えてしまいたい。  誰かにわたしてしまったり、離れてしまくらいなら。  でもそれは嫌だ、嫌なんだ。  アイツは呟く  お前分かってんの。  分かってんの?  それ、俺を愛してるって言ってるのと同じやで。    でも、アイツが俺を遠ざける理由も分かった。  俺では無理やからや。  俺はアイツをアイツの闇に沈めてしまうんや。  それでも俺は歓喜した。    お前は俺を愛してる。  愛してるんや。  俺はアイツにしがみついた。  「・・・口開けて」  アイツにそう言われるまで。  「俺はもうあかん・・・ゴメン」  謝られる意味が分からなかったけれど、俺は言われるがまま口を開けた。  身体をいれかえられた。  俺はアイツの身体上にいて、アイツは俺の頭を掴んで自分の下半身へ導いた。  自分もずり上がり起き上がりながら    俺の目の前にアイツのデカいもんが、そびえ立っていた。  開けた口の中に、それを無理やりアイツは押し込んだ。   俺はさすがに苦しくて呻いた。  デカすぎて全部は入らない。  顎が外れるかと思った。   「俺の・・・準備もせんとお前の穴に入れるわけには・・・いかへん。でも、もう我慢出来へん・・・ここでさせて」  アイツが荒い息のまま言った。  頭を掴んでさらに押し付けられた。  喉が塞がれる。  苦しい苦しい。   アイツが容赦なく腰を打ちつけてくる。  俺は声すらでなかった。  ただ、必死で耐える。  僅かな隙間で息をする。  えづく。

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