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第12話 (魔×光)

 すぐに傷が癒える首をぺろりと舐めながら面倒そうに空いた腕を振るえば、ここに連れてこられた俺と同じようにどろりとした液体に全身を染めながらぐったりと蹲っていた弓の勇者と影の勇者と杖の勇者が黒い色の瘴気を滲ませる檻に囲まれた。 「他にもツガイがいるかもしれぬし、我がお前の香りで理性が飛んだとしても、アレが暴走したとしても人など簡単に死んでしまうからな」  話している間にもムクムクと膨らむ筋肉混じりの身体。  理性を残していた瞳が獣の色に変わっていく。 「あぃぁ、ぁ、ひぃぁ……ぁ、はぁははぁぁぁっ。ぁひぃぁ」  木に取り込まれていた斧の勇者が焦点の合わない瞳で笑い出すのを見ながら俺もああなるのかと絶望に染まる。だが、あれはあれで楽に……  ビリッと痛みと共に首に刻まれていた魔紋の逆側が熱くなる。 「あれ……は壊れていても気にしないだろうが我は言葉遊びも気に入っているからな」  鈍く光る瞳がギラギラとした何かを宿し、瞳の真ん中が赤黒く光る。 「がぁぁぁぁぁぁっ」 「ひぃ……」  太い牙が見えた口から獣の咆哮が迸り、乏しい本能が身体を固くする。  反射的に逃げようと動いた身体が今まで以上の加減のない力で引き寄せられ、腕一本で身体を持ち上げられ痛みにひるんでいる間にベルトごとズボンを掴んだ赤い腕が紙のようにズボンと防具を下着ごと引き裂いた。 「なっぁ……」  むき出しにされた下半身に痛みに震えながらも今更ながら他の勇者たちの視線を意識して見るなと声を出す前に、俺の剥き出しの内ももに拳を握った大人の腕と変わらない先端から透明なよだれをだらだらと滴らせた赤黒い性器が当たる。  びくんびくんと震える性器とも言えない太さと長さのそれに、今まで生きたまま食われるのだと思っていた自分の勘違いに血の気が引く。 「いやだ。そんなの……無理に決まって……」  どうせ治るのだからと折れても千切れてもいいと思いながら腕を引き抜き地面へと落ちる。  すぐに立ち上がりどこに向かえばいいかもわからないまま走りだそうとした腰が掴まれ引き寄せられると同時に首に噛みつかれた。 「ぁぁぁぁぁぁぁぁっ」  牙が食い込み血が噴き出る痛みに悲鳴を上げる身体に触れた赤い手からバチリと電気のようなものが流れ、全身から突然力が抜ける。 「な……んで……いやだ……無理……無理」  痛みになぜか気を失うこともできないのに身体だけが痺れて動かない。  腰を掴んだ爪が肌に刺さる痛みもすぐに治った首をべろべろと舐める舌の感触もかわるのにただ身体だけが動かない。

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