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第2話

 そうや、サングラスを外せ、こんなんかけて、こんな格好してるから怖がられるねん。  俺は格好のせいにすることにした。  自分が顔面潰した三人組のことは見なかったことにした。  「俺は・・・」  俺は君を助けに来ただけ、怖がらないで、そう言いながらサングラスを外そうと思ったらパトカーの音がした。  俺は警察は絶対に見なかったことにはしてくれない三人組のことを考えずにはいられなかった。  過剰防衛てか、これ、俺が一方的に暴力をふるっただけだよね。  俺は仕方ないので逃げることにした。  でも、このまま逃げたら天使に二度と合えない・・・。     俺は天使を見た、天使は震えながら携帯を取り出していた。  警察か誰かに助けを求めようとしたのだろう。    俺は俺は俺は・・・。  ただ天使にもう一度会いたかっただけなんや!!  それ以外の意図はなかったんや。  天使の手から携帯を奪って逃げてしまった・・・。   なんでそんなことをしたんやろう。  今なら思う。  だって今聞いても多分連絡先教えてくれへんやろう思たんやろけど。  そやから携帯奪ってもうたら電話番号わかっても 、電話かけられへんよね。  わかってる。  わかってる。  間違ってんのわかってる。  でも、どうやってでも、また天使に会いたかったんや・・・。  で、現在に戻る。  俺はとりあえずその場を逃げ出し、ありがたいことに罰ゲームが終わったらすぐに着替えるつもりで用意していた服にトイレで着替えた。  サングラスとスタジャンとシルバーアクセサリーは駅のロッカーに押し込んだ。  そして俺の必殺技だ。  存在感を消す。  だてにデカいけど地味ってのをやってきているわけじゃない。  「うわぁ、すごい。こんなにデカいのに、おるの気づかんかった・・・」  と友人達に感心され、バードウオッチングにいけは肩に鳥が人間とは思わないで止まるレベルの俺の存在の薄さを思い知れ!  警官達がウロウロしている中を俺はすり抜けた。  セーフ。  でも、俺は天使を探す。  携帯返さないと。  なんてことをしてしまったんだ。  とりあえず天使がいた周辺をウロウロしていたら、いた。  天使が真っ青な顔で歩いていた。  俺は呼び止めようと駆け寄った。  後少し天使の前と言うところで、俺はつまづいた。  ドンっ  両手を壁についていて、天使がいて・・・。  何故か今、天使とキスをしている。  そういうことだ。  どういうことやねん!!  突っ込むどころやなかった。  天使の唇は柔らかかったんやもん。  唇を唇で挟む。  よじる。  唇の感触だけで射精出来ると思った。  天使の顔が見たくて目を開けてたら、天使は呆気にとられていて、でも何か言おうと開いたその口の中を舌で味わった。   唾液を飲む、怯えたように縮こまった舌を捉えて絡ませる。  何これ。  一方的なキスだったけど、めちゃくちゃ気持ち良かった。  天使を抱きしめた。  天使は多分女の子としては背が高いんだと思う。  170近いだろう。  でもデカすぎる俺からすると小柄で、華奢で、たまらなかった。  細い身体、何これ。  ん。  胸ぺったんこなんだ。  可愛い。  全然あり。  天使の手が俺の手をつかんだ。  えっどういうこと。  キスを止めない俺の手を、天使が自分の股間に導いていく。  いや、駄目、こんな往来で。  キスしちゃってるけど!!  駄目、そんなそんな。  焦る。    でも俺はその手に逆らえなくて。  天使の股間に俺の手が・・・。  グニュ  その感触に僕は驚く。  えっ?  何この感触。  これ、女の子にはないヤツやね。   えっ?  俺は信じられなくてちょっとその形を確かめてしまった。  えっ?  俺はキスを中断して天使の顔を見下ろした。  可愛い。  理想の通りの顔がある。  でも、コレ。  そうか、天使だから性別なんて適当なんだ。  俺は納得した。  いい、付いてるくらい些細なことだ。  愛せる。  全然愛せる。  グニュ  俺はその感覚を確認した。  うん、やっぱりついてる。  でも、O.K.!!  触ってたら、天使がちょっと喘いだ。  「いい加減手を離してくれませんか」  ハスキーな声で天使が言った。  「多分、間違ってはるとおもいます。もう分りはったでしょ、僕は男です」  天使は溜め息をついて言った。  俺はさすがに衝撃をうけた。  天使という生き物は男なのか!!  ならそれはそれでかまへん、そう思った。  でも、正気にも戻った。  俺は自分がえらいことしてしまったと言う反省でいっぱいだった。  俺は天使の身体から手を離した。  俺は膝をついた。    天使が戸惑った顔をした。  「キスして、すみませんでした!」  僕は歩道に頭をこすりつけた。  男であれ、女であれ、天使であれ、その意志と関係なく、キスをするなんて、人の道に外れたこと。  兄貴と同じ外道に俺はなってしまった。  ガンガン頭歩道に打ちつける。  こんな頭など、割れてしまえばいい。  死をもって償わんでどうする!  「やめて下さい、血が出てる・・・」  天使が悲鳴をあげた。  往来は観客で溢れかえっているのが目の端で見えた。  キチンと死ぬから見届けろ!  俺はおもった。   パトカーの音がした。  騒ぎを誰かが通報したのだろう。  ヤバい。  しかし、謝らないわけには・・・。  俺を止めようと膝をついていた天使が急に立ち上がった。  「気にせんといて気にしてないから」  俺に囁くと天使は走り出した。  いや、待って。  まだ携帯かえしてないし。  謝り終えてない。  俺は頭から血を流しながら天使を追いかけた。  軽やかに天使はかけていく。  警察から逃げているのかってことが気になったが、天使を逃がすわけにはいかない。  ちゃんと謝らなければ・・・。  天使が角をまがった。   俺も追いかけてまがった時、信じられないものを見た。   天使が無理やり車に引きずり込まれている。  俺が追いつく前にドアがしまり、車が動きだした。  なんてことだ!  天使が誘拐!!  俺は焦った。  走った。  車が常に渋滞している都市のど真ん中だ。  すぐに車はスピードが出せなくなるはずだ。  思った通り、車はまがった角で渋滞に入っていた。  ガラスにスモークが貼られていて真っ黒で車の中は見えないが、ここに天使がいて、今中で何されているのかわからない、そう思ったら怒りに身体がはちきれそうになった。  俺は歩道から車のボンネットに飛び乗った。  俺の体重は100キロをこえている。  ボンネット紙のように凹んだ。  運転席の柄の悪そうな男が悲鳴をあげているのが見えた。  お前が・・・天使をさらったのか。  許さへんぞ。   絶対に許さへん。  俺は思いきり肘をフロントグラスに叩きつけた。  フロントグラスは真っ白になり、ひび割れ、もう一度叩きつけたたら、砕け散った。  舐めんな!  歩けるようになってからすっと鍛錬させられてきたんやぞ、俺は。  「嘘や・・・なんなんコイツ!」  運転手が叫んでいたのを片手でつかんで引きずり出し、歩道に投げる。  「シートベルトはしとけ!」  俺は教育的指導を叫んだ。  そして車内に潜り込む。  後部座席を見て、頭に血が上った。  人が天使の腕をおさえつけ、もう一人が天使のズボンを引きずり下ろそうとしていたからだ。  天使は意識をうしなっていて・・・。  俺はぶち切れた。

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