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第3話

 二人は運転手が片手でつかみ出されたのを見ていたからか、固まったままだった。  「・・・違うから」  「・・・俺らはコイツを助けるために」  なんか下らないことを言い始めた。  俺は吠えた。  獣のように吠えた。  こんな凶暴な気分になったのは初めてだった。  俺は天使の腕を掴んでる男の襟を掴んで怒鳴った。  「離せ!」  男は大人しく離した。  運転席まで引きずりだし、そのまま運転席の割れた窓から車外に片手で投げ捨てた。  地面に投げ出される音が聞こえた。  もう一人に唸りながら手を伸ばす。  「化け物!」  ソイツは叫んでドアを開けて逃げようとしたが襟を、つかんでソイツも外へ投げ捨てた。  そして、出来るだけ優しく天使を引き寄せ、天使を抱きかかえた。  そして、またきこえてきたパトカーの音から逃げるため、ドアから歩道に飛び出し、駆け出した。  そう、このあたりに確か・・・兄貴の知り合いのお店が・・・匿ってもらおう!  俺は路地裏に飛び込み、汚いビルの地下へ降りていった。   確か、確か・・・ここだ。  看板のないその店のドアを叩く。  必死で叩いたからドアが凹んだかもしれない。  「うっせーな!」  ドスの効いた低い渋い声がして、ドアが開いた。  化粧がとれてはいるし、寝ていたのを無理やり起きたみたいな顔だけど、まだ美人だ。  ドレスを着たその人は言った。  「・・・てめぇ、あの外道の弟じゃねぇーか」  めちゃくちゃ渋い声だった。  素に戻ってる。  兄貴の高校の友人で空手部の主将だ。  ちなみに兄貴の高校は男子校だ。  そして、今は女性の美人さんだ。  美人さんと言えと命令されている。  「助けて下さい」  俺は言った。  店のソファに天使を横たえた。  天使は意識をうしなっていたが、少し呻いた。  俺のざっくりとした説明に美人さんは頭を抱えた。  「どこから突っ込めばいいのかわからへん・・・」  ドスの効いた声で呟く。  「良かったな、アタシが飲みすぎて家に帰ってへんくて。アタシ近くの女性用サウナでお風呂入ってこようと思ってたとこなんや」  美人さんは全身手術済である。  学生時代は兄貴と組んで、悪いことばかりしていたあの人が、こんな風になるのは俺の予想を超えていた。  「・・・とにかくその天使ちゃんもワケありっぽいな」  天使が苦しそうにあえぎ始めた。  俺は慌てて駆け寄る。  「大丈夫か」  俺はどうすればいいのかが分からなくて、ソファの周りをぐるぐる回る。  天使がまた喘いだ。  「どうしよ、救急車・・・」  俺は取り乱す。  「・・・おい、コレは・・・」  美人さんが驚いたように声をあげた。  天使が声をあげた。  苦しいのか。  俺はふりかえった。  そして俺は凍りついた。  天使は声を上げていた。  ヤツらがずらしたままのズボンから、自分のモノを取り出し、扱きながら声をあげていた。    ええっ  何コレ!  俺達が呆然とみつめる中、天使は片手で扱きながら、もう一方の手でコートのボタンを外し、その下に着ていたセーターとシャツをまくり上げる。  真っ白な身体が見えて、俺は思わず喉を鳴らした。  そして、淡い色の乳首を、天使は自分で摘まんでグリグリと動かし始めた。  ぐちゃぐちゃぐちゃ  濡れた水音、   押しつぶし回される乳首、  白い身体が蠢く  「はぁっ、あっ、ああっ」     天使の・・・淫らな声が響いた。  俺は俺は、目をそらすことができなかった。  間違いもなく天使は男で、間違いもなく俺と同じモノがついてるのに。  俺は欲情していた。  思った。  性別なんて些細なことや。  心の底から思った。  全然・・・愛せる。  めちゃくちゃ、エロい。  てか勃った。  「その連中が助けようとしたってのはあながち間違いでもないかもな、この子なんか薬使われてめちゃくちゃ欲情させられてるんや。正気やない」  美人さんが呟いた。  「どうすれば、どうすればええんですか」  俺はこんなんわからへん。  天使が苦しげに呻く。  見ることをやめることのできない俺の前で、天使は今度は・・・両脚を開いて後ろの穴を弄り始めた。  俺はそこに指が入るのも、動かされるのも思い切り見てしまう。  指が飲み込まれて、襞がその指に絡むのが見える。  くわえ込んだ指がグチャグチャて動かされてる。  「んっ、はあっ、んっ」  天使の声が響く  眉をよせて喘ぐ顔がエロい。  天使、指をさらに増やしてる。  そんなに増やして・・・粘膜がまくれあがって・・・、うわぁ、エロい・・・。  「はあっ・・・んっ、ふぅ・・・」   天使の声。  その白い喉が反らされる。  「鼻血でてんぞ、童貞」  美人さんがテッシュを投げてきた。  本当に鼻血が出てた。  でも鼻血より、下半身がヤバい。  「童貞やないです・・・一応」  俺は反論する。  彼女がいた事がある。  一人だけだけど。  セックスもした。  でも・・・別れた。  「ああ、がっつきすぎて怖がられて逃げられたんやってな」   美人さんが笑った。  兄貴め!  そんな話まで!  あの時は親切そうに慰めてくれたのに。  清純で可愛い彼女とはセックス始めるまでは上手く言っていた。  でも・・・。  セックスしたら怖がられてふられた。  「獣みたいで・・・怖いんやもん」  彼女は本気で俺に怯えてた。  何したんかも覚えてない。  夢中やったんや。  「お前、セックス嫌いな感じの女好きそうやもんな、中身獣のくせに」  美人が言った。  「獣なのは兄貴だけです!」  俺は言った。   俺は兄貴とは違う。  「とにかくどうすればええんですか・・・」  俺は聞く。  天使は泣き始めた。    ポロポロ泣いている、何が苦しいのか。  ああ、なんとかしてやりたい  「抱いてやれば?イケば落ち着くやろ。なんかお前、この子やったら男でも抱けるんやろ」  あっさり美人さんが言った。  「何を言うんてんの!」  俺は怒鳴った。  「正気やない人にそんな真似出来るわけないやないですか!同意もないのに!」  俺のはもうガチガチやし、ホンマに頭おかしくなりそうやけど、そんな真似は、そんな真似は出来へん。  「同意はすぐに取れるで・・・」  美人さんは笑った。  「なぁ、天使ちゃん」  美人さんはソファの横に膝をつき、天使の頬を撫でた。  天使はそんな接触でも、身体を震わせて声をあげた。  「・・・触って・・・触ってもっと、舐めて・・・お願い」  天使のハスキーボイスが響く。  俺は射精しそうになった。  「あんた、後ろにぶち込んでもらいいたいんやろ・・・アタシのはちょんぎったからあれやけど、デッカイの持ってるヤツおるから突っ込んでもらうか?」  美人は囁いた。  「欲しい・・・おっきいの・・・突いてぇ、・・・かき混ぜてぇ!」  天使が喘いだ。  苦しげに。  「ここに入れて・・・ここに欲しいねん・・・」  天使は脚を広げ、つま先でのけぞるようにして、その弄ってる穴をみせた。  もう、指は4本入っている。   クパァッ  そこを指で広げ、天使がねだる。  「入れてぇ・・・ここにぶち込んで、中で出してぇ・・・もう、アカン・・・・堪忍して・・・」  俺の鼻血がさらに吹き出した。       鼻血だけやない、下からは違うもんが出そうや。     「同意はとれたやんか、良かったな」  美人さんが笑った。  「コンドームはここやったな、ローションはここ、と」  美人さんは何か取り出してる。  「アタシも好みの男とここで店が終わってからしちゃったりするしな。掃除だけはちゃんとしとくんやで、じゃあアタシはサウナに行ってくる。あの子が自分で解してるし、慣れてるみたいやから、お前のデッカイの突っ込んでも大丈夫やろ」  美人さんは出て行こうとしてる。  「あかんて、あかんて・・・そんなんあかん」  俺は動揺する。  行かないで美人さん。  二人きりにせんといて。  俺は息も荒いし、頭がおかしなりかけてるけど、嫌や。  もう、セックスして好きな子に嫌われんの嫌や。  正気やないのにセックスしたら・・・嫌われる。  ホームレスの老人をとびこんで庇った天使。    俺からも守ろうと立ちふさがった天使。  なんて勇気のある、天使。  あんな子、もうおらん。  嫌われたら死ぬ。   

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