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28 最期まで
祈りたい気分だが、手は後ろに回っている。
男の身体は太陽のようで、この部屋から消えた途端に急激に寒くなった。左脚の感覚はすでにないが、指先も唇も急に冷たくなる。
こんな身体では戦えない、足手まといだから置いて行かれたのだろうか。
どうやって片付けるつもりなのか検討もつかないが、大人数がいるはずだ。徳重本人の戦闘能力など知る由もないが、丸腰でどうするつもりだろう? それとも、鄭社長からなにか武器でも渡されているのだろうか。
大きな物音とともに怒号と悲鳴が遠くで聞こえた。
銃声が響く。一発、二発……、何かが壊れる音がする。震動。ガラスの割れる音。
心配したってしょうがない。
徳重が殺られてしまったら、Sの金井に後悔するほど遊ばれるのだろうか。片桐の時のように、すぐ忘れられるだろうか。徳重を失くしても――。
先にこの命が尽きても、亡骸をあの熱で抱きしめてもらえるならそれも悪くはない。
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