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第4話
でも、それだけの話だった。
それだけの。
その部屋を発見しただけの話だった。
なんか、ゾッとしながらみんなで帰った。
警察とかそんな話も出たが、あのホテルで何かがあったとしても、80年前の話だ。
今じゃ関係者は全員死んでいるはずだ。
無断侵入したし、器物破損したし、色々まずいし。
全員でなかったことにして、解散した。
それだけの話。
それだけの。
なのに、そこに行った7人で生き残っているの
は僕ともう1人だけた。
他は全員死んだ。
そいつらは、有り得ないような死に方をした。
1人は次の日死んだ。
見ていたクラスメイトの話では夕暮れ時、突然絶叫して走り出し、歩道橋から車の群れの中に飛び込み死んだ。
まるで何かに追いかけられているかのようだったということだ。
2人目は2日後。
自宅近くの公園で血まみれになって死んでいたのを発見された。
喉を噛み切られていたらしい。
腕や足にも噛み切られた跡があったとか。
3人目は3日後。
2人死んでいるので、さすがに怖くなり、僕達は1人にならないようにしていた。
ソイツも、帰りも誰かに迎えに来てもらうことにしていた。
母親に塾の帰りに迎えに来てもらい、安心していた時だ。
車の窓を開けて顔を出した。
その瞬間、顔が引きちぎられ、後方に飛んでいった。
警察は顔を出した瞬間なにかにぶつかったのではないかと言っているが、ソイツのお母さんは半狂乱になってそんなものはなかったと否定していた。
4人目。4日後。
学校の屋上から飛び降りる。
夕暮れ時に落下音が響いた。
ここで僕達もなんとかしようとした。
警察に言ってみた。
何かしらの事件性があるのかもしれないとは思ってくれたようだった。
立て続けに4人死んでる。
色々怒られたけど、幽霊のせいにして殺人を犯している人間の可能性は僕達を安心させた。
わけのわからないモノよりは頭のおかしい人間の方がいい。
警察が警護についてくれることになり、僕達は学校も休んで家にひきこもった。
でも5人目。5日後。
自分の家の自分の部屋で首を吊っていた。
ただし、上半身だけで。
下半身は千切れてベッドの上にあったらしい。
さすがに親達も怖くなり、どこかに頼んで霊能者みたいなんを頼んできた。
科学者である僕の父でさえ反対しなかった。
でも、その霊能者とやらは僕達を見るなり言った。
「私では無理です」
そう言って帰ってしまったのだ。
半狂乱になる親達。
泣き叫ぶ友人。
今日、僕かコイツかが死ぬ。
僕は死にたなかった。
死ぬんは嫌やった。
そして、時計を見た。
まだ、学校は終わってない。
僕が思い出したのは1人。
オカルトオタク。
アイツだった。
何か何か知っているかもしれない。
僕は家を飛び出した。
僕の家に集まっていたのだ。
警護してくれている警察官も、家族もみんな振り切って走った。
アイツに会わなあかん。
僕はまだ死にたない。
まだ、死にたないんや!!
でも学校についたら授業は終わっていて、校舎はガラガラだった。
でも、あきられめ切れず、教室のドアをあけた。
「・・・お前、なんでここに・・・」
ソイツが顔を上げて驚いたように言った。
まだ教室で本を読んでいたらしい。
僕はソイツに抱きついた。
ソイツが真っ赤になった。
「何・・・何して・・!!」
ガクガク震えていたが、それはどうでも良かった。
「助けて!僕は死にたないんや!」
僕は叫んだ。
そう、僕はコイツに救いを求めたのだった。
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