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第7話

 明日は体力がいるから絶対たべろ、と言われてアイツが作ってくれた飯を食べた。  意外にも手慣れていて、ささっと作ってくれた。  もちろん作るのは手伝った。  わりと和やかに夕食を食べた。  風呂まで世話になった。  風呂は頼んでドアを開けたとこで待っててもらった。  アイツは皮肉な笑顔をむけた。  「ええんか、よう裸見て目に焼き付けて、オナニーのおかずにするからな」  そう言われたが、一人になるのは嫌だった。  アイツはそんなことを言ったくせに、僕に目をやろうとはせず、ずっと下を向いて椅子に座り風呂の前で待っていてくれた。   僕も、アイツの時は入り口で待たせてもらった。  なんか、悪い気がして、僕もアイツの身体は見なかった。  とにかく、一人にはなりたくなかったのだ。  朝一番でホテルに行くから早く寝ろと言われた。  ここでもめた。  「お前は居間で寝とけ」  アイツは言った。  僕は全力で拒否する。  「僕を1人にするな!」  僕は頼む。  今1人になるのは嫌すぎる。  皆、1人になった瞬間に殺されているのだ。  「明日までは大丈夫、・・・やと思う。黄昏時までは、多分な」  アイツはいい加減なことを言う。  「守る言うといて、それはないやろ!」  僕はどなる。  「俺の部屋で俺と一緒に寝るってどういう意味かわかってんのかアホ!」  アイツが真っ赤な顔して怒鳴りかえしてきた。  「俺はお前が好きなんや。一緒の部屋で一晩一緒におるってなぁ、どうなっても責任とれへんぞ」  アイツの言葉に、それはそれで納得したけど、多分大丈夫だろう位の理由で1人にされるわけにはいかなかった。  「それに、それに・・・なんや。お前にキスされたり抱きしめられたりしたんやぞ。・・・もう許してくれ。1人にしてくれ。オナニーしとうてしゃあないんや!」  アイツはとんでもないないことを叫んだ。  「なめんなよ、俺はお前と教室でキスしてからずっと、デカなったり、硬なったり、勃ててたりずっとしてるんや!出さしてくれ!したいんや!」  うわぁ生々しいことを・・・。  さすがに引く。  でも、それでも、1人は怖い。   それになんかなんかアレやった。  「キモいやろ・・・そやけど・・・アカンねん。したなるねん。ごめん。・・・ファーストキス奪ってもうたんもごめん。お前が初めてやとはおもわんかった。一度だけでええ、死ぬまでに好きな子とキスしたい思てもうたんや・・・ごめん」    アイツがうつむい てまたボソボソいいはしめた。   またや。  ネガティブにぐちゃぐちゃと。  僕はイラってした。  「なんでそんなに後ろ向きなん・・・なんで自分が誰にも一生好かれへん見たいに言ってんの?」  僕は思わず言う。  「・・・同性のいつも不気味な本ばかり読んでて、イケてへん、その上性格も悪くて、嫌なことしか言わへんヤツに好かれたいと誰が思うねん。俺なら嫌や。俺かて自分のことは知っとる」  アイツは言った。  確かに。  確かに。  告白された時、「無理」としか僕もおもわなかった。  いや、絶対ムリと。  でも、気になってしまって見てたらコイツ結構面白いし・・・。  何より。  僕は立ち上がった。   二人で座卓に向かい合って座っていたのだが、そいつの隣りに座った。  「・・・なんや」  驚いてソイツが言った。  ソイツが下を向いていた顔を片手でとらえた。  自分の方を向かせて、ソイツの髪をかきあげた。  泣き顔。  まっ黒な目が震えてる。  もうすぐ泣きそうや。  「なんで、そんなにアカン思ったのに告白すんの」  僕は逃がさないように顔を固定して、その顔を覗きこみながら言う。  「僕に嫌がられるだけやと思ってたんやろ。なのになんでキスしろ言うん。嫌われるだけやろ。なんで、黙って諦めへんねん・・・」  僕は責める。  ネガティブのくせに。  どうせアカンおもてるくせに。  「・・・ごめん。ごめん・・・どうしても、どうしても・・どうしても。俺、お前が好きなん止められへんねん・・・ごめん、ホンマ、ゴメン。俺なんかが誰かを好きになったらアカンのに・・・アカン思ってもお前を見てまう。お前を思ってオナニーしてまう。・・・告白なんかしたらあかん思てたのにしてもうた・・・」  アイツの目からとうとう涙が零れた。  アイツが嗚咽する。  まっ黒な瞳から流れ出す涙。  苦痛に耐えるような顔。  綺麗な顔。    きた。  めっちゃめちゃきた。  僕の中でなんかがざわめいた。  「・・・そんなに僕でオナニーしたいんか」  僕は低い声で囁いた。  そんな声が自分でも出るとは思っていなかった。 「・・・ごめん」  ソイツが泣く。  たまらへん、と思った。  自分にこういうところがあるとは思わなかった。  僕は欲情していた。  同性のコイツに。  というより、コイツのネガティブさがどうにも、こうにも、たまらなく僕を刺激したのだ。  「僕のキスでオナニーするんや。僕に嫌われてるかもしれんのに」  僕は囁く。  ソイツの涙が止まらなくなる。    僕の言葉も止まらなくなる。  「嫌がられてされてるキスがよかったん?そんなんで勃つん?お前変態やな」  髪を優しく撫でながら囁く。  アイツが顔を歪めた。  胸が痛いのだろう。  僕の言葉が突き刺さっているのだろう。  なんか、僕はゾクゾクしてきた。  「ゴメン・・・ゴメン・・・好きでゴメン」  声を上げてアイツが泣いた。  子供みたいに顔をぐちゃぐちゃにして。  顔を背けようとするのを、顎をつかんで逃さない。  存分にその顔を見る。  何この感情。  僕は自分の中から溢れるものに圧倒された。    もう、アカン思った。  唇を塞いでキスをした。  その唇も口の中も。  もう知っていた。  思うがままに蹂躙した。  いくらキスしても、それを単なるズリネタにしかしないアイツに腹が立っていたから、乱暴に一方的にキスをした。  そんなキスでも、キスの隙間にアイツは喘いだ。  僕はコイツを抱きしめていた。  また、僕の中に何か感情が動く。  何これ。  何。    「僕はお前の部屋で寝るからな。・・・ええやろ、どうせ僕でぬくんやろ。オナニー手伝ったるわ」  僕はアイツの耳元で囁いてやった。  アイツが真っ赤になった。  「お前・・・何言うてんねん」  アイツが慌てる。  怯える。  抱きしめた身体が震えてる。  ああ、わかった。  僕はコイツを可愛いと思ってるんだ。    

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