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第17話

 アイツの中で僕の指がそこをとらえた瞬間、アイツは叫んだ。  そこをこすりたてれば、射精さえした。  身体を震わせアイツはイった。  僕は驚いた。  いや、まて。  何でコイツここで、なんでこんなに簡単に・・・。  僕は初心者や。  アイツを気持ちようしてやる自信は、正直ない。  それに・・・僕は指を三本に増やした。  簡単にそこはそれを受け入れた。  アイツのそこは柔らかくて熱くてヤらしい。  アイツは指を動かしてやれば身体を震わせる。  めちゃくちゃ感じてた。  ぐちゃぐちゃ動かすと声をあげて腰がゆれた。  「やめて・・・イって直ぐはあかん・・・アカン」  アイツが泣き叫ぶ。  なんでここでこんなに感じんねん、初めてやのに。  コイツ、後ろでするの知ってるんや。  何で・・・誰と・・・。  一瞬殺意のような嫉妬が襲ったが、すぐにそれはないと思う。  だってコイツこんなにネガティブやのに他人とセックスなんか出来へん。  クソネガティブや。  コイツがオナニーしかしてへんのは明白や。  僕は悟った。  「・・・お前、オナニーする時、後ろも弄ってたんか」  僕は言った。  アイツが身体を震わせた。  返事の代わりにすすり泣く。  真っ赤になっていた。  納得。  コイツは一生オナニーだけしていくつもりだったから、その辺の探求はハンパないやろ。  自分でもいっつもオナニーしてると豪語してるし。  「気持ち・・・悪いやろ・・・こんなん感じてんのキモイやろ・・・。見んといて・・・」  アイツは泣いていた。  僕は思わず笑ってしまった。  そうか、後ろ嫌がったんは、慣れてるのバレるのが嫌やからか。    「何でさっきキス嫌がったん?」  優しく聞いてみる。  コイツはやはり僕が好きや。  「口でお前のん飲んだりしてるのに・・・嫌やろ」  アイツが答えた。  そう、それで。  僕がキライやからやないんか。  笑顔になる。  「なあ、指以外もここに挿れたりしてるん?」  僕は囁きながら僕のをその穴におしあてた。  アイツは返事をしない。  しゃくりあげるだけだ。  グリグリ僕のを押し付けた。  アイツの尻が欲しがるように動く。  それが答えだ。  挿れたがっている、ここに挿れる良さを知っている。  「僕の以外が先に入ってるんは・・・残念やけど、ええよ、許したげる。本物は僕のだけやから」  僕は囁いた。  エロいコイツが好きなのだ。   僕は。  そう考えたらたまらなかった。  浅く差し込み、抜いてみる。   気持ちいい。  柔らかくて、慣れていることがよくわかる。  「僕のこと考えながらおもちゃ挿れてたん?そういや昨日退院やったなぁ、昨日の夜もここでやったん?ヤらしいなぁ・・・」  アイツが声をあげて泣いたから、そうなのだとわかった。  昨夜一人で僕を思って、後ろにおもちゃ突っ込んでるコイツを考えたらたまらなかった。  僕はご機嫌だった。   「どんだけ変態やねんお前」  でも意地悪く囁く。  アイツが壊れたように泣き始めた。  号泣していた。  それはアイツの秘密だったのだろう。  可愛い。  「ごめん、ごめこんなん・・・気持ち悪くてごめん・・・」  アイツが泣くのがたまらなかった。   もう限界だった。  突き入れた。   アイツの腰を掴んでガンガンについた。  正直、ただめちゃくちゃに貪っただけだ。    余裕なんてなかった。  僕は童貞だし。  コイツの中が気持ちよくて、こいつが可愛くて、ひたすら貪った。  中で出した。     めちゃくちゃ可愛くてしかたなかった。      肩とか首とか、血が出るまで噛んだ。  アイツは痛みに泣いた。  それが可愛かった。  「可愛い、ホンマ可愛い」  叫んでいたと思う。  抜かなくても僕のもんはアイツの中ですぐにそだった。  アイツの中をまた貪る。  もう玄関にはいづくばったアイツの腰だけを持ち上げて打ちつけてやる。  「好きや、ホンマ好きや、何で分からへんねんアホ!」  怒鳴りながら犯していた。  アイツを思いやってやる余裕なんてなかったけど、アイツが何度か白いもんを出しているのは見た気がする。  前なんか触ってやる余裕もないのに。  「優しく抱いてやるつもりやったのに、めちゃくちゃ甘やかしてやりたかったのに・・・こんなんなってもうたやないか!」  僕は半狂乱になって叫んだ。  何を言っているのかわからなくなっていた。  「好きや、好きやねん。僕を追い出すな!僕を追い払うな!お前と一緒にいたいんや!」  僕は泣いていたかもしれない。  さんざん貪って、何回も出して、アイツが意識をなくしていることに気付くまで・・・止まらなかった。  そして、泣いた。  違う。  こんなん違うかったのに。  僕はアイツを抱き起こし、抱きしめたまま泣いた。  うまく行かなすぎた。  コレで僕はコイツを失ってしまうのかもしれない・・・  アイツを風呂に入れて布団に横たえた。  勝手知ったる家だ。  アイツは何度かぼんやり目をさましたが、すぐにまた眠る。  僕は膝を抱えて、寝ているソイツの隣に座っていた。  上手くいかない。   何一つ上手くいかない。  コイツに好かれていると思っていたけど、嫌われたかもしれへん。  髪を撫でる。  綺麗な顔が隠されているのが好きだ。  僕だけ知ってるてのがいい。  肉のない真っ白な身体が好きだ。  コンプレックスだらけの性格が好きだ。  虐めたくなるから。  泣き顔が好きや。  皮肉っぽい笑い顔も好きや。  ふわっと笑う顔も。  こんなに人に好かれたことはなかった。  命なんか簡単に捨てにくる位の重さで好かれて、たまらなかった。  軽くて楽しくて、前向きな女の子より、  重くてややこしくて、後ろ向きなコイツにはめちゃくちゃクるもんがあった。  髪を撫でる。  でも、酷いことをしたから、もう嫌われただろう。   命をくれようとした、腕をくれたコイツになんでこんなに酷いことが出来たんだろう。  でも。  嫌だ。  コイツを放したない。  僕のや。  僕の・・・恋人や。  僕は布団に潜り込んだ。  抱きしめた。  アイツの首筋に僕の歯形があった。  そこにキスして、僕は目を閉じた。  「好き。むっちゃ好き」  僕は囁いた。  分かって欲しかった。  アイツを抱きしめながら、僕は眠った。    

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