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第10話

 「・・・ホントはお前の手だけでして欲しいけど、そこまではまださせない。だから、手だけ貸してね」  掠れた声で言われた。  大きな幼なじみの手が彼の手に重ねられた。  幼なじみは彼の手を性器と一緒に握りこみ、自分のモノを扱き始めた。    「お前の手だ・・・お前の・・・」  幼なじみは呻いた。    怖すぎて、もう目を閉じることも忘れてた。  自分の手の中の感触が怖い。    また大きくなり、脈打つ。  濡れた音。  でも、眉をひそめて耐えたような顔をする幼なじみの顔は・・・見とれてしまった。  知らない顔だ。  お前こんな顔するの?  オレの知らないお前はまだあるの?  誰かはもう、そんな顔を知ってるの?  「  !!」  彼の名前を叫んで幼なじみは射精した。  精液が彼の顔に飛び、彼は怯えた。  「ごめんね」  指で拭われた。  そして、その指を口元に突きつけられた。    「舐めて」  言葉は優しいけど酷いことを言う。   また彼は泣く。  でも、許してもらえないのだ。  止めたら、幼なじみはもう隣りにはいてくれない・・・。  口をおずおずと開いた。  「舌を出してなめて。キレイにしてね」  優しく言われた。    躊躇を何度も繰り返しながら舌は出され、怯えた舌はその指を舐めた。   酷い味に泣きそうになり、えづきながら、彼はそれを全て舐めとった。  「飲んで」  優しく髪を撫でて言われるには酷すぎる言葉だった。  でも、そうする。  失いたくない。  飲んだ。  胃液がこみ上げるような吐き気がした。  でも吐き出すことは許されない。    「ありがとう」  震える身体を幼なじみは抱きしめ、ベッドサイドの傍らにあるミネラルウォーターを口移しで飲ませた。    「好き。好き。大好き」  抱きしめられた。    ホッとしたこれで終わった?  もういい?  逃げたい。  でも、そうしたら、お前を失う。  怖くても酷くても、幼なじみがここにいてくれることが嬉しくて、思わず顔を幼なじみの胸にすりよせた。  酷くされたことを酷くした幼なじみに慰められたくて。  わからないこの気持ちがわからない。  「・・・・・・ホント、無自覚だよね。泣かされても甘えるし逃げないし」  幼なじみの声に苦さがある。  でも離れていかない。  わからないけどそれでいい。  「今日はここで止めてあげようかと思ってたのに。やっぱりとことんするよ。大好き、可愛い・・・食べてしまいたい」  最後の言葉が怖かった。 身体を軽々ともちあげられうつ伏せにされにされた。  「もう・・・止め・・・」  言いかけて止める。  これを止めるのは幼なじみが離れることだ。  シーツを掴んでされる何かに備える。  怖いことだ。  とても怖いことだ。  そして気持ちいいことだ。  それだけは分かっていた。  「大丈夫・・・今日は僕のを挿れたりしないから。今日は・・・舐めるだけ」  そう言われた。  舐める?  どこを?  それはすぐにわかった。   尻を割開かれ、濡れて熱いモノがそこをなぞった。  思わず身体が跳ねた。  信じられなかった。  そんなところを?  「ここで気持ちよくなることを覚えてね」  幼なじみは言った。  熱い息を、そんなところに感じた。  「お前はこんなとこまで・・・奇麗だね」  恍惚とささやかれた。    ピチャリ、音がして舌がそこを舐めはじめた。  熱い濡れた感触は何故かもう放出したばかりの場所にまた熱を貯めていく。    「嫌ぁっ・・・ひぃっ・・・ああっ・・・」  彼は怖がる。 襞の一つ一つを伸ばすかのように舌で広げられていく。  熱くて、濡れたその感触に身体が震える。    痛くないのに、怖い。  熱くて、甘くて、なのに鋭く脳を刺す。  舌は甘くそこをほぐし溶かしていく。  「あっ・・・だめっ・・・ああ、そんな・・・」  彼は叫んだ。  舌でつつかれ、中にそれが入ろうとしているからだ。  「ひぃ」    身体をのけぞさせた。  そこをむしゃぶられる感覚は前を触られる時より怖かった。  終わりのない穴に落ちていくようで。    甘くて熱くて怖い穴。  「止めて」だけは言えない。  こんなに怖くても言えない。

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