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ピュア 第7話

 「早いな、先生。・・・可愛いな」  オレのを飲んで、アイツは言った。  信じられない。  マジで飲みやがった。    「ちゃんと綺麗にしてやる」  絞りとるように、だしたばかりそこを扱かれ、吸われ、舐められた。  「あっ・・・、やめ・・・ああっ」  オレは力が入らない。  身体を震わせる。  されるがままに声をあげてしまった。  「声いいな。殺して我慢してんのも良かったけど、次は沢山聞かせてくれ」  場違いな笑顔でアイツは言った。  トイレで男の性器を舐めまわしながらするような笑顔じゃない。  笑うと顔の印象が一気に変わるような、無邪気な、そんな笑顔だ。  グラウンドでサッカーしている少年みたいな。  て、次って何だよ次って!!  「顔真っ赤だ。太股も。全身赤くなるんだ、先生。可愛い。チンポも可愛いけど。・・・あんま使ってないだろ?」  どんなに無邪気な笑顔をしてようがイカレてることには変わりがないアイツがオレのそこに音を立ててキスした。  オレはますます真っ赤になる。  「過去にはこだわりたくねぇけど、やっぱり気になるな。今まで何人とやった?男とはしたことないだろ?」  アイツがやけに早口にどんどん聞いてくる。  何言ってんのかわからない。  「・・・・・・でもこの慣れてなさ。もしかして童貞?」  いやらしくまた先をなめられて、言われた。  オレは目を見開いた。  これ以上ない位顔は赤いだろう。  「マジか。・・・悪いな、怖かっただろ・・・ごめんな、色々焦りすぎた」  何故か抱き寄せられる。  膝をついていても座ってるオレよりアイツの背は高い。  コイツめちゃくちゃデカいのだ  「怖がらせたかったわけじゃないんだ、な?」  優しく背中を撫でられてる。  なんなのこれ。  心地よいけど意味がわからん。  オレはなんかもう初めてのフェラに虚脱状態で。  トイレットペーパーで性器や、アイツの唾液で汚れた太股を何故か綺麗に拭き取られている。  腰が抜けてて立てないオレを支えて起こし、ズボンまで履かせ、シャツまで丁寧に整える。  デカい手は器用に優しく動いた。  「ほら顔こっちむけ」  水に濡らしたハンカチでオレの顔まで拭った。  なんかされるがままになってた。  「・・・気持ち良かったか?」  耳元で低音を響かせられ、また顔が赤くなる。         それ見たアイツがまた笑った。  嬉しそうに。  本当に嬉しそうに笑うんだ。  何なんだコイツ。  何なのこの生き物。  そっとまた抱き寄せられた。  壊れものでも扱うかのように、そっとそっと。    「あんたが気持ち良かったらいいんだ」  優しい声が耳に響き、背中を撫でる指が甘い。  髪の匂いを嗅がれ、首筋の匂いを嗅がれる。  まるで獣の求愛だ。    「いい匂いだ」    吐息のような声。     なんかぼんやりされるがままになっている。   ゴリラにドアまで壊させてフェラされるとか、どんな夢だよ、悪夢か。  悪夢の割にはひどく甘い。       なんか子供の頃に母親に抱きしめられてたみたいな安心感がある。     頭のてっぺんにキスを落とされた。  「・・・なぁ。」  囁かれた。  耳を噛まれ、首筋にキスを落とされる。  唇は柔らかく落とされ、甘くそこを吸い上げられた。   それをおとなしく受け入れていた。  なんか、甘い。  何この感覚。  どんな夢なんだよ、これ。  オレは何の夢見てんだよ。  「名前教えてくれよ」  この言葉で正気に返った。  このガキ・・・!!!  名前も知らんクセに!!  フェラまでしやがって!!  順序が・・・いや、そういう問題じゃないけど!!  オレは首筋を吸っていた顔に向かって、頭を思いっきりぶつけた。  まともにくらってさすがに、巨大なバケモノもふらついた。  ふらついたところへさらに頭突きをもう一度いれる。  その上頭を押さえつけて、顎に膝を入れた。  ドシン  さすがに床にくそガキは転がった。  起きあがらない。  人間だったんだな、一応。  「ふざけんな!!クソガキ!!」  オレは怒鳴ってトイレから飛び出した。  見事な程、廊下には人がいなかった。  昼休みだ。  いつもなら誰彼が通るこの廊下に誰もいなかった。  職員室の前なのに、職員の一人さえ。  本当に、誰も近寄らないようにしてたことに、オレはゾっとした。  アイツ何?  何なの?  オレは校門に向かって走って行く。  荷物やら何やらはもうどうでもよかった。  辞める。  こんな仕事やってられるか!!  アイツにされたあれやこれやより、誰もがオレかどうなってもいいと、見捨てたことこそが恐ろしかった。  走る。  全力で走る。  こんなとこいてたまるか。  帰る。  二度と来るか!!  校門を出ようとしたところで、腕を思い切り引かれて転びそうになった。  でも、地面にぶつかる前にふわりと身体が浮き上がった。  「・・・危ない」  心配気な声こそすれ、無表情な顔と光のない目がオレをみている。    オレはアイツにお姫様抱っこされていた。  「お前が引っ張るからだろ!!下ろせ!!下ろせ!!」  オレは怒鳴る。  「もうこんな学校なんか辞めるんだ。お前なんか知らん!!放せ!!」  オレは怒鳴りつけた。  「・・・辞める?」   アイツが眉を寄せる。  不機嫌この上ない顔になる。  その顔は腫れてる。  オレが殴ったからだ。  だが知ったことじゃねぇ!!   お前なんか二度と会わない!!  「ダメだ。ダメだ」  アイツは超低声で繰り返す。  姫だっこから正面から抱きしめる姿勢に変えられる。  胸に押し付けられるように抱きしめられる。  優しく、でも決してその腕はオレを逃がそうとはしない。    「何でお前にダメだとか言われないといけないんだ!!」  オレがアイツの胸の中から喚く。    「大体お前のせいでやめるのにお前がなんでダメとか言うんだ!!」    オレはわめき散らす。  「辞めたら会えなくなるからダメだ!!」  アイツがデカい声で怒鳴り返してきた。  何、ソレ。  オレはキョトンとしてしまった。  コイツ何言ってんの?  「今日楽しみだった。こんなに次の日が来るのが楽しみだったことはなかった、明日が楽しみだと思って寝たことなんかなかった、だから辞めたら駄目だ!!」  アイツに怒鳴り返された。  はぁ?  何?  そしてオレは気付いた。  全ての教室の窓が開き、生徒達が窓から溢れそうなぐらいに窓から外を夢中になって見ていることに。  そう、校門の前のオレ達を全校生が窓から見ていることに。  190センチはあるゴリラに抱きしめられてるオレを。  「・・・・・・辞めたらだめだ」  また甘く言われてぶちきれた。  こんな真似されたら辞めるつもりだったけどな、さらに確実に辞めないとダメになっただろうが!!  

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