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告白までの距離 第4話

 「何故眼鏡をかけている」  先生に言われた。  愚問だ。  外したら彼の乳首が見えないだろう。  「オレは水に顔をつけれないので」  オレは堂々と言う。  頭の中は数学の問題で一杯だ。  さっき見た、彼の背中か愛しすぎた。  襟の隙間からみた肩甲骨の上あたりにある、黒子の存在はもう、露わになってて、その上、右腰の少し上のとこにも黒子があって・・・今日の夜オレは妄想の中でここを舐めて吸うだろう。  痩せているからはっきり浮き上がる背骨とか、尖った肩とか。  背骨のとこを舐めて、肩にかじりついて、後ろから抱きしめたい。  背後からガンガン突く妄想をしたい。  でも、今はダメ。  ダメだから。  オレは数学の問題をガンガン解いている。  学年トップは間違いない。    「顔に水もつけれないのに何しにきたんだ。いいんだぞ、お前のはもう水恐怖症みたいなもんだから、見学でも」  先生が呆れる。  何しに来たと?  決まってる。  乳首を見にきたんだ。  後、へそ。  無理のない範囲で股間の膨らみとかも。    「今からでもいいぞ、見学でも」  先生は気を使う。    そうだ、今どき高校生がビート板に捕まってで顔を上げたまま泳ぐのだ。    オレは水に顔をつけれないからだ。  かなり恥ずかしくはある。  クラスのバカの一部はもうクスクス笑っている。  「今日はやります」  オレは言う。  今日だけは。  今は順番に50メートルを泳いでいるところだ。  オレは25メートルでいいとのことだ。  大事なことはだ。  オレは彼と並んで泳ぐことになるわけだ。  ここ。  ここがチャンス。  段取りを考える。  少し早めにスタート地点にいく。  オレは飛び込めないから先にプールの飛び込み台の下に入る。  そして、隣のコースの彼が飛び込み台から飛ぶために立つのを水の中から見上げるわけだ。  カンペキだ。  ローアングルから全部見れる。  みんなとタイミングを合わせるため、みたいな言い訳もあるし、例えちょっと勃起しても水の中だから大丈夫。  泳いでいる間におさめてみせる。    逆にそれまでは彼を見てはいけない。  絶対に。  オレはビート板を抱きしめた。  念願の。  念願の!!  乳首だ!!  小さくガッツポーズまでした。  オレはスキップしないように気をつけながら、飛び込み台に向かう。  オレはここからプールに降りて、プールの中でスタートを待つ。  待つ間、それはオレが彼を見ても良い時間だ。  スタート台にビート板を置き、先にプールに入ろうと足を水につけた時だった。    「一緒だね」  声をかけられた。  オレは驚く。  彼の声。  何この声、まるでオレに話しかけているみたいじゃないか。  とうとう幻聴まで聞こえるようになったのかと振り向く。  彼だった。  彼が恥ずかしそうな微笑みを浮かべながら、オレを見ていた。  オレにオレに話しかけたの?  目を丸くするだけだ。  「後でちょっと話が・・・」  何か言ってる。  でも、でも、そんなことよりも、無防備に胸をさらして・・・当たり前か、でも、オレには当たり前じゃない・・・彼はオレの前に立つた。    夢にまでみた乳首はオレの目の前だった。  思ってたよりも小さくて・・・ピンクだった。  色白の肌の中にそのピンクが!!!!  ピンクが!!!  ピンクか!!!!!  オレの頭は突然のことにパニックに陥った。    だって目の前にピンクが!!    いや、頭はいい頭はどんなに混乱してもいい!!  ヤバい。ヤバい!!  オレのオレがヤバい。  数学とかぶっ飛んでしまって、ヤバいヤバい。  ものすごい勢いで育つ。  だってピンクなんだぞ?  オレは水の中に入りあっという間にヤバくなる股間を隠すことにした。  クラス全員の前でコンチニワするわけには!!!  しかし、焦りすぎた。  オレはバランスを失い、足からではなく、頭から水の中に落ちてしまった。    オレは、水泳を免除してやると言われるレベルの水恐怖症だ。  頭から水にはいった瞬間パニックになった。  もがく沈む、もがく沈む。  落ち着けば足が着くプールで溺れていた。  何もかもが頭から吹っ飛んで、水を飲み、むせ、空気を求めた。  背後から、誰かの腕がそっとオレの首筋に優しく触れた。  首が水面に固定され、息が出来る。  オレは必死て息を吸う。  「落ち着いて・・・もう大丈夫だよ」  優しい声がした。    その声は知ってる。    クラスでただひとりだけ聞き分けられる声だ。    彼の。    彼の。  オレは恐る恐る振り返った。  彼がオレの頭を抱えるようにして、プールの中にいた。  溺れるオレを助けに来てくれたらしい・・・。     てか、オレはまたパニックになる。  オレは彼の白い胸に抱えられるように浮いていた。  つまり、オレの顔のすぐ側に、ピンクの乳首があって・・・。  おれは真っ赤になって彼から離れようともがいた。  このまま彼にプールサイドに上げられたなら、オレのオレがコンチニワしてしまう。  足のつかないプールで溺れ、何故か勃起していた男として、代々在校生に語り継がれてしまう!!    伝説の男になってしまう。 もがこうとして、彼の胸に唇が当たってしまって、オレはさらに真っ赤になった。  「暴れないで、もう大丈夫だから」   彼は言う。    止めろ、抱きしめたりしないでくれ。    いや、嬉しい。  嬉しすぎるけど、  今は止めて!!  勃起以上のことになっちゃう!!  オレは人生最大のピンチを迎えていた。  

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