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籠の中の鳥~鳥籠 第5話
「ただいま」
幼なじみは彼が待っているはずのリビングへ向かう。
微笑みながら、そう言った。
でもそこにはソファに膝を抱えうずくまる彼がいた。
制服さえ着替えていなかった。
顔をあげようともしない。
「どうしたの!!気分が悪いの!!」
心配のあまり駆け寄る。
思わず触れかけて止める。
彼は触れられるのは好きじゃないのだ。
俯く顔を覗き込む。
彼は真っ青で、無表情だった。
おかしい。
明らかに様子がおかしい。
「タクシーを呼ぶね。病院に・・・」
幼なじみは携帯を取り出す。
指が震える。
彼が心配で仕方がないのだ。
一刻も早く病院へ・・・。
「大丈夫」
奇妙なくらい平坦な声で彼が言った。
色んな感情に彩られ、輝く目が今は色がない。
他人を見るような目で彼は自分を見てる。
こんな目みたことがない。
こんな目を彼は自分にはしない。
幼なじみは怯えた。
抱きしめて揺さぶろうとし、彼が嫌がると思い触るのをやめる。
こんな時でさえできない。
彼が嫌がるかもしれないことは何一つ。
「どうしたの?」
不安と心配で取り乱し、声を上げることしかできない。
そんな目で僕を見ないで。
幼なじみは思う。
いつものように笑って。
お願い。
心が悲鳴を上げる。
「・・・お前は誰?」
彼は震える声で言った。
目をそらすことなく、幼なじみを見つめながら。
そこにいるのは知らない少年だった。
彼の知っている幼なじみではなかった。
「 」
彼はある名前を口にして、その名前に幼なじみは固まった。
聞いたことなどないような振りをするべきだったのに。
その日、その少年は押し倒されはしても、乱暴な扱いは受けなかった。
優しいキスを頬や額に落とされ、優しく背中を撫でられただけだった。
「綺麗だね。可愛い」
優しい声が囁かれ、真っ赤になった。
気になっていた。
容姿や疾走する姿が美しかったのもある。
でも、優しいのにどこかここにいないような存在感が気になっていた。
親しくなれば、その存在は確かになるのだろか。
本当のコイツに会えるのだろうか。
目で追っていた。
合同練習が終わり、自分の学校の仲間達が一緒に帰る時、「よるところがあるから」と断ったのは・・・そしてなぜかのんびりシャワーを浴びて着替えているアイツにあわせて、なかなか部室を出ようとしないのは何故なのだろうか。
「最後締めておけよ、明日お前が開けろよ!!」
部長らしいヤツに鍵を投げられ、アイツは笑いながら受け取った。
そして、部室に二人きりになった。
少年は慌てた。
急いで服を着てここを出て行かなければと思った。
怖かった。
何か分からないのに怖かった。
なのに、なぜかアイツが内側から部室の鍵を閉めるのを黙って見ていた。
なのに、後ろからアイツが髪から雫を落としながらやってくるのがわかっているのに動かなかった。
「僕のこと見てたでしょ・・・」
背中から抱かれ唇を首筋に落とされても・・・されるがままになっていた。
そして、押し倒されて・・・。
クスクスアイツは笑う。
優しい笑顔だ。
その指はもっと優しい。
人にこんなに優しく触れられたことはなかった。
女の子でもきっと、こんなに優しく振れてこない。
胸をなでられた。
そんなところ触れられたところで何もかんじないと思ってたのに。
乳首をそっと撫でられ、思わず震えた。
「可愛い。・・・セックスしたことある?」
顎を齧りながらアイツは言った。
その声の真剣さに驚く。
そんなこと言いたくなくて首をふる。
ただもっと優しく触れて欲しい。
その欲求だけか募る。
いや、募らされている。
ただ優しくやんわりと撫でられるその指をもっともっと欲しかった。
「答えて。セックスしたことある?」
場違いなほど真面目な声だった。
それがコイツには重要なのだとわかる。
そして、嘘は許さない、そんな声でもあった。
「あってもなくても・・・もうするけどね。扱いは変わるよ」
耳に息をふきこまれ、甘く耳を噛まれる。
少年は呻いた。
「ない・・・」
口にした。
誰ともしたことがない。
こんな風に誰かを欲しいと思ったこともない。
「そう、じゃあ、優しくしてあげるね」
アイツは怖いくらい優しい声で言った 。
喜んでいた。
とても喜んでいた。
自分が誰にも触れられていないことがそんなにも嬉しいのか、と思った。
思ってしまった。
胸が痛くなった。
「キスしてあげる。口開いて」
誘われる言葉に唇を開いた。
優しく優しく唇が触れた。
そして、甘い舌が口の中を溶かし始め、何も考えられなくなってしまった。
そこからダメになるほどに甘やかされた。
胸を弄られ、そんなところで勃起させられた。
優しい舌は乳首を溶かしてしまう。
声を上げる恥ずかしささえ、誉められることで消えてしまう。
「声を聞かせて。可愛い声、もっと聞きたい・・・」
その声は媚薬のようだ。
感じるまま声を上げた。
舐められ触れられる全てが溶けて煮え立つようだった。
後ろの穴まで舐められた。
丁寧に丁寧に。
そこで繋がるのだと教え込むように。
気がつけば指を挿れられ、後ろだけで射精出来るまでそこを弄られ続けた。
いつの間にかローションまで使われていた時に、これはもうそうすることを決めていたのだと確信した。
「ずっと綺麗だなって思ってたんだよね、ほら、力を抜いて。指を殖やすから」
優しく囁かれながら、穴を開かれていく。
「痛くない?」
気遣われているというよりは、確かめられているように思うのは気のせいなのか。
そこへの愛撫は優しく優しく、でも、執拗だった。
まるで色んなことを試しているかのように。
行為自体は甘く優しかったけれど、何度達してもやめてくれなかった。
執念のような執着のようなモノを感じて少年は嬉しく思った。
それが自分に向けられたものだと思ったから。
「もう大丈夫だね」
でも、思ってた以上に大きなそれを四つん這いにされ、腰を捕まれ押し当てられた時、さすがに恐怖した。
「無理」
少年は泣いて逃げようとした。
こういう行為になることさえ、想像もしていなかったのだ。
もう散々達して、泣かされたのに、これ以上は無理だと思った。
許して欲しかった。
今日は、せめて。
今日だけは。
「そんなのダメだよ。せっかく開いたのが無駄になるじゃない。ここまでかかった時間が意味がないじゃない。痛かったら言ってね。痛くはしないから絶対に」
優しいのか酷いのか分からない言葉が、優しい声で囁かれた。
逃げられないように腰を押さえ込まれた。
「お願いやめて」
泣いて頼んだ。
何かがおかしかった。
優しく抱かれてるのに何がが違和感があった。
でも、その優しさだけはこの身を焼き尽くすように浸食していく。
この調子で抱かれてしまえばおかしくなってしまうのはわかっていた。
心は違和感を感じているのに、身体は優しさを信じて溶けきっている。
身体が溶けきれば、次は心まで浸食される。
その確信があった。
力の入らない身体で必死に逃げようとした。
でも、ゆっくり、ゆっくりと巨大なそれが柔らかく蕩けた穴に沈みこんでいく。
違和感と圧迫感。
でも、痛みはなかった。
いや、あったとしても、もう分からなくされていた。
熱い。
貫かれるそれが熱い。
「ひぃ・・・」
涎をたらし、声を零す。
苦しんではいないかを、顔を覗き込まれ確かめられる。
まるで、観察するかのように。
その目の真剣さが怖かった。
それまで何故かそこだけは触られることのなかった性器を扱かれ身体の抵抗を奪われる。
ずっぽりと埋められた。
動かれることはなかったけれど、熱さと存在感だけでおかしくなりそうだった。
「ああっ・・・いやっ・・・」
勃起させ、先から滴らせながら少年は叫んだ。
「抜いて!!止めて!!」
声の限りに叫んだ。
「助けて!!誰か、助けて!!」
泣き叫んだ。
これからされることは違う。
違う、何か違う。
「誰ももういないよ。叫んだところで無駄だよ。・・・たくさん気持ちよくなろうね」
零れる涙を優しい指先で拭われた。
優しいけれど、冷静な声が怖かった。
そして、ゆっくりと自分を穿つソレが動き始めた。
「ここだけで気持ちよくなろうね。なるまで・・・終わらないから」
それは宣告だった。
「優しくしてあげる」
それだけは間違いはなかったけれど。
ゆっくりと、確かめるように動き始めた。
甘く刺されるような快感が始まる。
優しい毒。
柔らかな恐怖。
甘く蕩けるような責め苦は優しく与えられていった
穿たれる穿たれる。
貫かれ、刺される。
甘さの中で。
優しいけれども容赦はなかった。
一番奥まで犯された。
何度放っても止めて貰えなかった。
何度も何度も中で出された。
「病気の心配がないのはいいね」
低く笑われたのは気のせいだろうか。
それは、気を失っても・・・続けられた。
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