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モンスター~ピュア 第4話

 「今日は来れねぇ・・・先生を気持ちよくさせてやれねぇ。 オレとしては不本意なんだが」  次の日の朝、当たり前のようにベッドに潜り込んできたゴリラが言った。  オレのベッドはコイツには小さすぎるので、終わればしばらくグダグダしているが、渋々だけど帰るのだ。  隣りの部屋へ。  オレが身体を休めないからだ。  狭過ぎる。  アイツにがっつり抱きしめられ手足も伸ばせなく、縮こまって寝るのはごめんた。  アイツはベッドを買うと主張したが、この本だらけの部屋にこれ以上デカいベッドなどおけるわけもない。  次は自分の部屋に来いといわれたが、それは断った。  朝まですんでいた住人を追い出してコイツはオレの隣りの部屋に居座ったのだ。  なんか、色々怖すぎる。  狭いベッドで抱きしめられ、キスされる。  寝ぼけたオレはもう、されるがままだ。       昨夜も当然されて「いいだろ」と挿入を強請られたけど、拒否している。    ・・・物理的な恐怖はもちろんなんだが、最後までしてしまえば・・・コイツの存在を要らないって言えなくなりそうで怖い。  こんなに自分の近くに人を入れたことなんかなかった。  コイツグイグイ入ってきて、オレの身体の中まで入ってこようとするから・・・。  怖い。  心の中まで入られてしまいそうで。  怖い。  拒否したら不満そうに鼻を鳴らされ、「せっかく広げたの元に戻さないように」と、またバイブで散々イかされた。    「舐めるだけでいいから」と凶器を口元に持ってこられたが それも拒否した。  当たり前だ!!  だけど・・・手を使って扱かされてた。  断れなかった。     なかったんだ・・・。      それでもめちゃくちゃ喜ばれてしまった。    オレに触られるのがそんなに嬉しいのか、と驚いてしまうくらいで。    デカくて・・・めちゃくちゃ熱くて・・・堅かった。    変な気分にはなってしまった。  違う・・・違うんだ。  オレはあくまで、無理やりされてるだけで・・・。  あ、何気持ちいい。      胸吸われてる、コレ、好き。   え?  何してんだコイツ!!  「止めろ!!オレは仕事だから触るな!!」  オレは怒鳴った。  寝ぼけてる間にパジャマを捲られ胸を吸われていた。  甘く吸われて、舐められた。  「んっ・・・ホント、ダメだか・・・ああっ」  オレは喘ぎながら怒鳴った。  「仕方ねぇ・・・くそ、もっとなめてぇ。ここだけでイカせてぇ・・・」  アイツは仕方ないといいながら、それでも音を立てて吸い続けた。  「やだっ・・・仕事・・・」  オレはアイツの髪に指を突っ込む。  引き離すはずだったのに・・・また、舐められて・・・噛まれて・・・思わず頭を胸に押し付けてしまう。  「・・・欲しがられたならしかねぇ、先生の頼みだ。大丈夫だ、先生。朝飯抜きになるだけだ。な?・・・ちょっとだけ」  アイツは反対側の乳首を摘まみながら舐めはじめた。  唇でねぶられ、歯を立てられ、舐められ、反対側を指で摘ままれ潰される。  「欲しがってない・・・、ないから・・・バカ!!」  オレは怒鳴る。    「そうか?先生・・・その割にはオレに脚絡めてるし、頭押し付けてるじゃねぇか。素直じゃねぇな・・・そこが可愛いんだけど」  それは、確かに、アイツの言うとおり・・・オレの身体は求めるように動いていて・・・。  「可愛い。ここだけでイこうな。たまんねえな、ここの感触。ずっと舐めててぇ」  吸われてすっかり尖った乳首を、舌で押し潰され回された。  「はんっ・・・、あっ・・・」  オレはパジャマの下を脱がされることなく、触れられることなく、なのにそこをおっ立てていた。  乳首と性器がどうつながっているのかわからない。  でも、オレの性器はもう濡れていて、震えていて・・・。  噛まれて、吸われて・・・摘ままれ、潰され・・・舐められて・・・。   それが甘くてたまらなくて。  もっと欲しくて。  オレは服を脱がされることなく、パジャマを捲られ、胸を弄られただけで射精していた。  ヌルヌルになった下着の中から、ぐちゃぐちゃのそれを取り出され、アイツはそれを美味しそうに舐めたり咥えたりし始めながら、自分のを扱きはじめた。  オレは泣き叫んだ。  イったばかりなのに・・・。  でも、アイツがイくまでに二回イカされた。  朝飯は完全に食べる時間はなくなっていた。  オレはアイツを殴りつけ、慌ててシャワーをあびにいった。  仕事の約束が。  またオッサンの自伝を書くから取材があるのだ。    「先生・・・今夜はオレ、後ろは可愛がってやれないけど、オレがいないからって、一人で後ろで楽しんだりしないでくれよな」  アイツが慌てて出かける準備をしている、オレに言う。  「するわけないだろ!!」  オレは怒鳴る。  早く出かけないと。  ギリギリだ。  「せっかく広げてきてんのにな・・・お休みすんのはなぁ・・・今夜は挿れるつもりだったのに」  アイツが口惜しそうだ。  いや、挿れさせいから。  絶対。  「栓していくか?閉じないように」     アイツがいつの間にかその手にやらしいもんを持って言っていた。  本気で言っているのがわかったので、また殴った。  「遅刻しそうな時に・・・ふざけん」  怒鳴っている時にスマホが鳴った。  依頼者のオッサンからだった。  慌てて出る。  「あっ、はい」  オレは頷く。  オッサンは急用が入って明日にして欲しい、とのことだった。  オレはスマホを切りながら、アイツを睨みつける。  コイツ、何がしたんじゃないだろうな。  まあ、なんせ、遅刻はなくなった。  「遅刻じゃなくなったのか」  アイツは笑う。  じゃあ、もう少し・・・と言うようにベッドにまた引き戻され・・・。  今度はアイツのスマホが鳴った。  アイツはしばらく無視してオレにキスしていたが、鳴り止まないそれに舌打ちして出た。  「・・・わかった」  アイツはため息混じりに言った。    そして名残惜しそうにもう一度だけオレの唇を音を立てて吸った。  なんかもうすでにぼうっとさせられてたけどオレも正気に帰る。  「明日、また来るから」  アイツがため息をつきながら言った。  「来なくていい!!」  オレは怒鳴るが抱きしめられる。  大事な宝物みたいに、デカい男の太い腕は、広い胸にオレを抱き込んだ。  「1日会えないだけでも辛いんだ、先生」  その声の真剣さに怒鳴りつづけられなかった。  「あんたが好きなんだ」  本気の声が低く響いた。  胸にまで響く。  そんなこと言われても、だ。  おれは後6日でお前と・・・サヨナラ・・・するんだぞ。  「明日来るから」  アイツはやっとオレを離した。  オレはなんか恥ずかしくて下を向いて顔をそらした。     その目の先にアイツのスマホが見えた。  待ち受けが見えた。  ん、猫?  オレの視線にアイツが気付く。    「先生の写真を待ち受けにしてないのは、まだ正式に付き合ってないからだ。したくねぇわけじゃねぇし、写真がとりたくかねぇわけじゃない。ハメ撮りもしたいくらいだ」  なんか頭のおかしい言い訳を始めたのを殴って黙らせる。  ハメ撮りなどしない!!  正式にも付き合わない!!  でも、猫は気になった。  スマホを取り上げ、その待ち受けを見る。  子供が猫を抱いていた。  子供がアイツであることはわかった。  殺人鬼みたいな子供っているんだな・・・。  そして猫は歯をむき出し、毛を逆立てて、子供の腕に噛みついていた。  子供は無表情にその猫を見ていた。    シュール過ぎる写真だった。  何、コレ。     何の待ち受け?  「この猫って・・・」  オレに似ているという・・・お母さんが飼ってた猫?  「ああ、他にも写真はあるぞ」  ひょいとスマホをアイツは取り上げ、写真をうつしだしはじめた。  毛を逆立てた猫に引っかかれてるアイツ、噛まれてるアイツ、服を裂かれるアイツ・・・。  どの写真も猫は敵意剥き出しで、いかりに満ちていた。  でも、どの写真の子供のアイツはそれを黙ってやられるがままになっていた。  何コレ。  「お前めちゃくちゃ嫌われてるじゃないか!!」  オレは正直に言った。  「・・・素直じゃない猫だったんだ」   アイツが反論する。        いや、コレは明らかに嫌われてる。  最後の一枚は小柄な女の人が猫を抱いている写真で、猫は女の人には大人しく抱かれていたみたいだけど、カメラを持つアイツに気付いたのかカメラに向かって歯を剥いていた。  オレに似ていると言う猫の全ての写真は毛を逆立てて、目を見開き、牙を剥き出しにしていた。  ・・・コレに似てる。  いや、確かに、毎日怒鳴ってるけど。  コレが可愛いの?  お前?  「・・・」  オレは絶句した。  コイツがその猫を溺愛してたのはわかるが、コレ、完全に嫌われてるじゃん。  なんか、可哀想になってきた。  オレがいくら怒鳴っても平気なわけだ。  でも、これに似てるから可愛いって・・・。  オレは言葉を失いかけたが、女の人の写真に目をやった。  「これがお母さん?」  オレは聞く。  優しい小さな人。  目立つような美人ではないけれど、性格の良さが透けて見えた。  この人がアイツに甘い玉子焼や、サンドイッチ、お好み焼きを焼いていたんだ、とすぐに納得した。  庶民的な雰囲気がしていたから。  空き箱利用しての収納とかこの人がアイツに教えたんだろ。  「ああ、死んでなければあんたに会わせたのにな」  アイツはあっさり言った。                  

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