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念願~ピュア
「絶対・・・優しくする。大事にする・・・先生・・・」
アイツがそっとと抱きしめてきた。
オレのケガに障らないように。
まあ、本来セックスなんてしていいわけでもないんだが。
「ちゃんとコンドームもするし、むちゃはしない」
オレにと言うよりは自分に言い聞かすようにアイツは言った。
でも、アイツがひどく興奮しているのはわかった。
目はギラギラしてるし、息は荒いし。
・・・怖いんですげど。
必死で自分を抑えているのがわかった。
それでもアイツはゆっくり畳の上にオレを横たえた。
優しく顔を両手で挟み込み、切ない顔をして言った。
苦しいんだが、笑ってるんだが、嬉しいんだがわからない顔で。
「優しく・・・するから・・・」
アイツは声を掠らせながら言った。
脚が押し広げられ、腰がもちあげられた。
ローションが足された。
熱く硬いものがそこを擦った。
「挿れるぞ」
アイツの声にそっぽを向いた。
恥ずかしくて、見れるはずがない。
アイツが少し笑った。
余裕だな、お前。
「うっ・・・」
オレは呻いた。
ソレがそこに挿ってきたから。
「くうっ・・・」
オレは顔を反らす。
何、これ、バイブなんかと話にならない。
デカ、い。
熱、い。
ミチミチとそこが広げられていく。
痛くないなんて嘘だ。
でも、思った程ではなかった。
アイツがせっせとバイブやらいろんなモノを突っ込んでいたのは無意味ではなかったわけだ。
腹が立つことに。
「先生、力抜け、ゆっくり息吐け」
アイツが呻く。
アイツも苦しそうだ。
ざまぁみろ。
オレだけ苦しいなんてありえない。
オレは何故か出てくる涙をこぼしながら笑った。
「先生・・・そんなオレのが嬉しいのか」
アイツがまたでかくてはしやがった。
ただでさえ入らないのに何すんだ、このバカポジティブ!!
でも。
少し。
少しだけだぞ。
嬉しい。
お前がそんなに喜んでるから。
オレは息を吐いた。
呼吸で身体をコントロールするのは格闘家として当然だが、まさかセックスで使うとは思わなかった。
「先生上手だ、先生・・先生の中だ・・・先生、せんせ」
アイツは譫言のように云う。
ゆっくりアイツは入ってくる。
熱量と圧迫感。
お前だ。
熱くて、デッカい、お前がオレの中にいる。
「 」
アイツはオレの名前を呼んだ。
呼び捨てで。
生意気な。
でも、オレは許した。
アイツが泣いていたから。
「オレのだ。オレだけのだ。もう放さない。大事にする・・・」
アイツはポタポタオレの顔に涙をおとしながら言った。
誰がお前のモノがだ。
オレはお前のモノじゃねぇ。
でも許す。
今だけは。
だってお前・・・そんなに嬉しいの?
「全部入った。・・・待つからな・・・動いてもよくなったら言ってくれ」
苦しそうな声でアイツが言った。
オレだって苦しい。
圧迫感が。
デカすぎんだよ、バカ。
「バカっ・・・バカっ」
空気を求めて、大きく喘ぎ、つま先を丸めながら反り返りオレは怒鳴った。
「うん・・・うん、オレも愛してる」
苦しそうに愛しそうにアイツが頬を撫でてくる。
いや、オレはバカって言ったんだ「愛してる」なんて言ってねぇ。
クソバカポジティブが!!
アイツの眉がひそめられる
必死でこらえてるのがわかる。
オレのために我慢しているのだ。
それが愛しい。
「動け!!バカが!!」
オレは怒鳴った。
我慢させたくなかった。
アイツは切なそうに微笑み、ゆっくり動き始めた。
ぞくっ
オレは全身の肌が逆立つような感覚を味わった。
ひどい寒けなのかと思った。
ひどい熱さなのかと思った。
ひどい痛みなのかと思った。
身体の中を真っ赤に焼けた鉄のヤスリで擦られたのかと思った。
「うわぁぁぁぁっ・・・」
思わず悲鳴を上げて。
それが快感なのだと気付いた。
「ふううっ・・・」
オレは顔を逸らし振る。
ゆっくりと擦られる。
焼かれて。
なかから全てが引きはがされる。
鳥肌が立った。
気持ち良かった。
ゆっくりと中から焼き尽くされる。
その熱の塊が愛しかった。
「はあっ・・・」
オレは涎をこぼした。
ゆっくり、引き裂かれることに酔った。
脳が甘い熱したシロップで煮られている。
ゆっくり、ゆっくり、動かれ身体は溶かれていく。
内蔵が裏返され、焼かれ剥がされ、それがあまい。
「あ・・・ああっ」
じんわりそこをこすられた。
身体が痙攣する。
勃起してるのにはわかってた、でも出てないのに・・・でも・・・イった。
「せんせ・・・気持ちいいか・・・」
優しい声。
ぽたりと落ちてくる汗。
アイツは微笑んでいて、でも必死で我慢してた。
オレを最優先して。
耐えていた。
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