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第10話・とある夜。祖父と孫。男と男の話。

 ☆  誰も彼もが寝静まった夜。  ふたりは縁側に座って何をするでもなく満ちた月を見上げていた。  これは他愛もない祖父と孫の、――とある会話である。 「祖父(じい)さん、もう吸わないのか? 煙管(きせる)」 「……(りゅう)か」 「ああ、茶虎(ちゃとら)にな。身体に悪いからやめろと叱られた……」 「へ~え。」 (組織中から“去なしの仙蔵(せんぞう)“と恐れられているあの祖父さんが……ねぇ) 「お前も吸わなくなったな、煙草」 「ああ、三毛が咽せるもんでな」 「お互い、色には頭が上がらねぇな」 「ああ、まさかここまで嵌るとは思いもしなかった……」 「俺もだ。抱けば抱くほど色香が増して愛着も湧く。もう60だぜ? この歳にもなって困ったもんだ」 「祖父さんはまだまだ若いし容姿だって負けてねぇよ。男気もそんじょそこらの奴らよりずっとある。まあ、これからだろう?」 「そうか、そうだな……可愛い恋人の為だ。お互い精一杯生きようじゃねぇか、なあ、龍」 「ああ……そうだな」 ☆第10話・とある夜。祖父と孫。男と男の話。/完☆

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