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第6話・遊び。遊ぶ。えっと、これもアソビ?(中編)
「うっわ、うっわ、うっわ!!!!」
オレは今両手を胸の前で握り締めて興奮してる。
だって見ろよ、コレっ!
仙蔵 さんが並べてくれたコマ、すっげぇ面白いんだぜ?
円で置いたり、真っ直ぐ置いたり、そうかと思えばジグザグに置いて並べたり。
そうやってたくさんのコマを一列の線で繋げるんだ。
それでさ、それでさ!
端っこのコマをひとつ倒すだろ?
パタタタタタタって軽快な音を立てて倒れていくんだぜ?
しかも途切れねぇっ!
しかもしかも! 倒れる速度が少しずつ速くなっていくんだぜ?
すっげ、すっげ、すっげ!!
「面白れぇっ!!」
オレはこの一瞬をすべて見逃さないようにと目を大きく開いて瞬きすら惜しむ。
「すっげぇ! 倒れてく……面白れぇっ!!」
仙蔵さんと一緒なのが嬉しくて。
オレと遊んでくれるのが嬉しくて――。
オレと同じ目線でこうして側にいてくれるのが嬉しくて……。
楽しすぎて興奮した。
畳の上で足踏みして倒れていくコマの列を見ていると、体勢を崩してしまった。
「あっ!」
ガクン。
急に視界がナナメになった。
やべ。
転ける。
バタンッ!
体勢を崩したオレ。
だけど痛くない。
オレの身体はすぐに逞しい腕に支えられたからだ。
「怪我は無 ぇか?」
眉根が寄ってる。
鷹みたいに鋭い目が心配そうに見下ろしている。
……コクン。
オレは頷くことしかできない。
別に怪我をしたからじゃない。
大好きな人の顔がすぐ側にあるからだ。
……どうしよう。
トクン、トクン。
オレの心臓がまた高鳴る。
顔が熱いから、きっとすげぇ赤くなってるんだろうな。
どうしよう。
どうやってはぐらかせばいい?
わからない。
心臓がバクバク煩いんだ。
「お前は三毛のような無邪気さがあるのに、少し違うんだな……」
ポソリと耳元で囁かれた。
「んっ!」
ヘンな声が出た!
口元を両手で押さえれば――。
ゴツゴツした手が、オレが着ている着物の合わせ目に入り込んだ。
「なにっ? あっ!」
仙蔵さんの骨張った指がオレの、胸に触れたんだ……。
「お前さんは俺の保護欲をくすぐってくる」
「あの、仙蔵さ…っふ」
触れられたそこは男なら意味のなさないもの。
どうってことのないただの飾りにすぎない。
それなのに……。
オレ、どうしちゃったんだろう。
指の腹でコロコロ転がされる度に身体が疼くんだ。
まるで身体中に静電気が駆け抜けるみたい。
「あっ!」
ヘンな声がまた出てしまう。
「あっ、あっ、ああっ……」
口元を両手で押さえても、無駄だった。
開いた口から声が漏れる。
「気持ちが悦 いか?」
「わ、かんなっ……」
頭をブンブン振って、わけもわからないままそう言えば――。
もう片方の手がオレの太腿の間を伝う。
そうかと思えばオレの一物に触れたんだ。
「えっ? 何っ?」
☆第6話・遊び。遊ぶ。えっと、これもアソビ?(中編)/完☆
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