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この恋の終わり。(中編)

「仙蔵さん!!」  離れに着いたオレは勢いよく障子を開けた。  月明かりが静かに部屋を照らす。  畳の上に敷かれたひとつの床の上に、仙蔵さんが眠っている。  部屋は真っ暗だ。  オレが障子を開けても何の反応もない。  だからあれ? って思った。  だってさ、煩わしいオレが来たんだぜ?  煩いって怒鳴るとかさ、  何をしに来たとかさ、  普通訊くじゃん?  だけど無反応。 「仙蔵さん?」  布団をめくって仙蔵さんの顔色を窺えば――。  すごい汗だった。  おでこから大粒の汗が浮かんでいる。  それに身体も少し熱い気がする。  それなのに、寒そうで身体を震わせて……。 「せんぞ、さ?」  こんな弱った仙蔵さんを見るのは初めてで……。  だからオレ、すごく怖くなった。  死んじゃうんじゃないかって、  怖くなったんだ。 「誰か……誰か!!」  どうしよう、どうしよう!!  仙蔵さんが死んじゃう!!  パニックになるオレの頭に真っ先に浮かんだのが三毛と恋人の龍だ。  この離れにはたしか、もうひとつ。  ずっと奥に部屋があったはずだ。  オレは二人を頼りに走った。 「三毛、三毛。龍! 助けて!! 仙蔵さんが死んじゃう!!」  ドンドンドンッ!  三毛と龍がいるだろう部屋に辿り着いたオレは、深夜なのにも関わらず、障子を叩いて大声でふたりに助けを求める。 「茶虎、どうしたの?」  そしたらさ、三毛が出てきてくれたんだ。  オレと三毛は猫だった頃からの親友で、ちょっとしたことでもすぐに意識がリンクする。  だから互いが悲しい時とか嬉しい時は遠く離れていてもわかっちゃうんだ。  そして今はオレがピンチなのを理解してくれている三毛は、今にも倒れ込みそうになるオレを抱きしめてくれた。

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