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三毛と茶虎、人助けをする。(前編)

「ああ、もうダメだ」  その日は晴れ。  月曜日の朝。  オレ、茶虎と弟みたいな三毛は朝のさんぽに出掛けていた。  平日の10時頃。  そこはほとんど人通りのない穏やかな場所。  そしたら、大きな川の柵の前に男の人が蹲っていたんだ。  年齢は三毛の恋人の龍と同じくらいかもう少し上か。  たぶん、25歳あたりかな。  ひょろっとした、みたいな体型に眼鏡をかけた、インテリ? ちっくな人だった。 「?」  オレと三毛は何事かと川の柵の前で蹲ってる男の人を見ていると――。  突然柵から身を乗り出した。 「ちょっと! 何してんのっ!」  そりゃ、慌てたよ。  身投げでもしそうな表情で、すごく追い詰められていた雰囲気がしたから。  オレたちは駆け寄って男の人を引き摺り下ろした。 「放っておいてくれ! 店が立ち行かないんだ。もう死ぬしかない!」  男の人で、ああ、やっぱり身投げする気だったんだって思った。 「放っておけるかよ!」 「お兄サン、死なないで。お願いだからッ! ボクたちでできることがあったら何でもするよ!」  心優しい三毛は自分のことのように感じているみたいで、今にも泣き出しそうだ。  そんな優しい三毛の気持に男の人は心を開いたんだろう。  静かに口を開いた。 「実は、私は写真屋さんを経営しているんだが、経営がうまくいかなくなってしまって。ほら、今は写真なんてどこでも携帯があれば綺麗に撮れちゃうだろう? 写真屋さんなんて必要ないじゃないか。だけどね、代々受け継がれた写真屋さんは取り壊ししたくないんだ。ご先祖様に申し訳がたたないしね。何より、私は写真屋さんが大好きなんだ。だから、ない頭を振り絞って、考えたんだよ。看板を綺麗な写真にしたら立ち寄ってくれる人もふえるんじゃないかと思ってね」  へぇ~。 「ちゃんと打開策考えてえらいじゃん」  オレが見直したと褒めてやると、 「だけどね」と言って男の人は苦笑して首を振った。

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