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龍と仙蔵、三毛と茶虎の行動に気付く。(前編)

「じゃ、仙蔵さん」 「龍さん」 「行ってきまぁす!」  ガラガラ、ピシャッ。  声を揃えて元気な明るい声で行ってきますと言うと、茶虎と三毛は玄関を出た。 「なあ、爺さん、最近三毛と茶虎の様子がおかしくねぇか?」 「お前もそう思うか」  それはとある日の午前。  三毛と茶虎がここのところ連日決まって同じ時間になると家を出る。  そして決まった時刻。夕方にぐったりした表情で帰宅する。  そういうことが続いていた。  初めは散歩で遠くまで出掛けているのかと思ったが、こうも連日続きでそういった様子で帰宅する。  龍と仙蔵はどうもふたりの様子がおかしいと思うようになっていた。  後をつけよう。  2人はそういうことになった。  三毛と茶虎ふたりの後を追い、龍と仙蔵がやって来たのは角にある写真スタジオだ。 「いいね、ふたりとも可愛いよ!」  店の中をくぐりぬけると、奥の方から見知らぬ男の声がする。  龍と仙蔵は顔を見合わせた。  店の住人に気取られないよう、静かに声のする方へ歩いて行く……。  暖簾を巻き上げて中を覗けば、2人は目を疑った。  それはたしかに三毛と茶虎だった。  しかし彼らは可愛らしいフランス人形のようなフリルに、広い袖のドレスを着て、カメラの被写体に向かってポーズを取っていた。 「いいね、いいね」  パシャ! 「今度はふたり抱きしめ合って、こっちに上目遣いで目線送ってくれる?」 「えっと、こう?」  三毛は腰まであるクルクル巻き毛の金髪ウィッグをつけ。  茶虎は腰まであるストレートの黒髪ウィッグをつけて。  ぎゅ。  可憐な少女になった三毛と茶虎は互いに抱きしめ合い、視線をカメラに向けた。  男に言われるがまま、大きな目をパチパチと瞬きしながらポーズをとる。 「いいね、可愛いよ! じゃあ、次はふたりでこの大きなクマさんを抱きしめて?」  パシャ、パシャ! 「いいね、いいよ!!」 「なっ!」 (可愛すぎるだろ……)  これに驚いたのは龍と仙蔵だ。  三毛と茶虎の可憐な乙女の姿に目を奪われたまま動けない。  気が付けば、仙蔵と龍は見入られるままに時間を過ごしていた。

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