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龍と仙蔵、三毛と茶虎の行動に気付く。(後編)

「お疲れ様。今日もありがとう。おかげで看板になる写真が撮れそうだよ」 「これでお店の運営、どうにかなりそう?」 「うんうん、ありがとう!!」  どうやら3人の会話を聞いていると、この男は店主で先行きがいかなくなったらしい。  どういう経緯かはわからないが、お人好しの三毛と茶虎のことだ。  困り果てた店主を助けようと、こうして女装しているのだろう。  気が付けば夕方に差し掛かっている。  写真撮影を終えそうな予感がした仙蔵と龍はとりあえず3人に見つからないよう身を潜め、やり過ごすことにした。 「よかった」 「じゃ、また明日ね!」  2人がいなくなるのと同時。  グワシッ!  龍と仙蔵はぬめっと姿を現すと、満足げにカメラを撫でている男の両肩を掴んだ。  これに驚いたのは男だ。  なにせ自分ひとりきりになったと思いきや、見知らぬ、しかも強面の男が2人もいたのだ。 「な、なんなんですか貴方方は!」  身動ぐ男に、 「その写真、いくらで売る?」  はじめに声をかけたのは仙蔵だった。  茶虎の可愛い姿をどうしても手に入れたかったのである。 「え? これは生憎、売り物じゃないんです」 「金ならいくらでも出す! あの子たちが着た衣装ごと買い取ろう。衣装代の2倍。いや3倍は出してもいい」 「えっ?」  どうしても可愛い茶虎が欲しい。  あの大きな瞳で被写体に目をやる姿。  パラソル片手に首を傾げた純粋無垢な三毛。  そして、ふたりでクマを抱きしめている可憐な姿を――。  仙蔵と龍は男に商談を持ちかける。 「あと、撮った写真を大きなパネルにしてもらい受けたい。その金も別で支払う」 「金に糸目はつけん。どうだ?」 「まっ、まいど!!」  龍と仙蔵の提案に、男は大きく頷いた。 (やった! これで店の運営がなんとかなる!) (三毛の可愛い姿をパネルにして、三毛コレクションの部屋を造って飾ろう) (この衣装を茶虎に着せてうんと可愛がってやろうか) 「はっはっはっ!」  棚からぼた餅。  こうして3人は見事、欲しいものを手に入れたのであった。  めでたしめでたし。  ☆龍と仙蔵、三毛と茶虎の行動に気付く。/完☆

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