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三毛と茶虎、龍と仙蔵。(前編)
「よう、邪魔するぜ?」
それはオレと三毛がひょんなことから川に身投げしようとしていた小太朗 を助けて三日目になる頃だった。
オレと三毛は相変わらずフリフリなフランス人形が着るような女が着る服を着せられてカメラの前に立つ日々が続いている。
その中で、人相の悪い30代くらいの男が6人、写真店の中に入ってきたんだ。
「誰?」
男6人の顔を見るなり、小太朗の顔が強張ったのをオレは見逃さない。
小太朗に訊ねると、だけど小太朗は小さな悲鳴を上げるだけで何も答えなかった。
「小太朗サン?」
三毛が小首を傾げる。
そしたら、さ。
そいつら、あろうことか三毛とオレに目をつけやがったんだ。
「お、可愛い子じゃねぇか」
「モデルを雇う金があるなら俺らに渡せや!」
ひとりの男がオレたちを見て、
また別の男が小太朗に詰る。
「何しに来たんですか! お金は払ったハズです」
「世の中には利子っつうもんがあるんだよ!」
「そんな!!」
話を聞く限り、どうやら小太朗はこいつらに金を借りていたらしい。
なるほど、オレたちのモデルのおかげで少しは儲けがあったんだな。
金を返したのに、利子は勝手に割り増しされて膨れ上がったっていうわけみたいだ。
ムチャクチャな奴らだな、こいつら。
オレはイラってして人相の悪い野郎を睨んでいると、
「いいや、借金はチャラにしてやってもいいぜ? その代わり。この子らをくれたらな」
なっ!?
言うが早いか、野郎の手がそれぞれオレと三毛の腕を掴んだ。
「やっ!」
「放せよ!!」
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